研究分担者 |
紀本 創兵 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00405391)
芳野 浩樹 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (10347560)
太田 豊作 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (10553646)
安野 史彦 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 医長 (60373388)
松田 康裕 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70445063)
|
研究実績の概要 |
2018年に発表したマウスの多個体行動解析(Multiple Animal Positioning System; MAPS)を転用して自閉症モデルであるBTBRマウスの解析を行い、これまでに報告された異常行動とは異なる表現型の検出に成功した(Endo et al, Exp Anim, 2019)。その後、MAPSをAugmented Reality(AR)を用いることで改良し、幼若マウスの解析を可能とし、また時間解像度を高めることにも成功し、将来的にはカルシウムイメージングなど手法との併用も可能とした(投稿準備中)。 生後21日目から35日目までの幼若期に隔離されたマウスの前頭前野の機能改善を目指して回転かごによる自発運動による介入を試みたが、幼若期(生後21日目から生後35日まで)でも成体期(生後36日目から生後50日まで)でも、前頭前野機能障害を反映する社会行動障害の改善を得ることはできなかった。 ヒト研究としては、MRI解析、NIRS解析、ERP解析を行った。自閉症患者では定型発達者に比べて表情が水平方向に切り取られると感情を読み取りにくくなることを明らかにしたが、その困難さは脳梁などの微細構造障害の程度と相関していた。これらの結果は、自閉症患者における左右脳半球の情報交換が不十分さが表情認知の困難さにつながる可能性を示唆した(Yasuno et al, Autism Res, 2020)。NIRS研究としては、自閉症患者の希死念慮を前頭葉血流の動態によって判別できる可能性を示すことができた(Ota et al, Psychiatry Res, 2020)。ERP解析により、自閉症患者の小児期体験のうち、とりわけ性的虐待が長期にわたって脳機能に著明な影響を与えることを明らかにした(Okazaki et al, Sci Rep, under review)。
|