統合失調症への遺伝要因の関与は明確だが、近年の全ゲノム解析はその遺伝要因機構の詳細を未だ明らかにできていない。全ゲノム解析が立脚するCommon Disease Common Variants (CD-CV) 仮説の限界を示すと同時に、次世代シーケンシング技術の到来を受けてCommon Disease Rare Variants (CD-RV) 仮説による研究が推進されている。しかしCD-CV とCD-RV を二項対立で捉えては、精神疾患の真の構築は解明できない。CV とRV との関連性を同時に解析する認識論でこそ、精神疾患の遺伝要因構築を正しく認識出来る。本提案ではこのCD-CV-RV 認識の基盤となる知見を創出することを目的としている。
本年度は、RVであるコピー数変異(CNV)の同定するための解析(3000名の統合失調症とほぼ同数の対照者)と、稀なHLAアレルと統合失調症の関連を検討した。CNV解析では、個々のCNVにおける座位での関連は認められなかったが、全体として統合失調症にCNVの数が有意に多い結果が得られた。このことは、既報の結果を支持するものである。また、HLAの関連解析も同数で行ったが、稀なHLAを含め、有意な関連は得られていない。
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