研究課題
精神疾患発症機序の解明において、異種性回避を念頭にしたバイオマーカー同定とその分子基盤に基づいた病因、病態の理解が早期診断、治療、予防法の創出のために必要不可欠である。本研究は、カルボニルストレス(carbonyl stress, CS)マーカーを軸に、精神疾患の新たな心身統合的な早期診断・予防・治療法創成のため、病態基盤を解明することを目的とした。ヒト生理検体についてHPLC-MS分析を行い、精神疾患罹患者と健常者の血中CS変動を比較し、血中CSと臨床情報との関連について検討を行った。また、一般集団の被験者におけるCS指標について、皮膚AGEs値を測定、栄養疫学調査を実施し、それらとの関連についての検討を試みた。動物モデル研究においては、glyoxalase I (GLO1)ノックアウトマウスを用いた行動試験、遺伝子発現解析を実施した。加えて、細胞株あるいはiPS細胞モデルを活用した抗CS作用のある天然物由来bioactivesの探索等を試みた。CSマーカーであるPEN、VB6が重篤な陰性症状の一つである思考の解体、思考障害と強い関連を示すことが明らかとなった。また、躁うつ病と統合失調症という2大内因性精神疾患において、その一部にはCS病態基盤の共通性が示唆された。さらに、統合失調症において、PEN蓄積が再燃・再発リスクや予後予測の因子となる可能性も示唆された。AGEsマーカーを非侵襲的に測定する体制を確立し、統合失調症では健常者と比較してAGEs値が有意に増大すること、入院期間と関連することを明らかにした。マウスの行動解析においては、行動量の減少、強制水泳試験における無動時間の短縮、驚愕反応の減少を明らかとした。CS性統合失調症、健常者のiPS細胞を樹立し、アストロサイトへ分化、誘導する系を確立した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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