研究実績の概要 |
本研究では、睡眠の質的量的低下や内的脱同調などの睡眠・生体リズム調節障害が高齢者の認知機能や気分調節に及ぼす影響を精密に評価し、その罹患脆弱性や個人差が生じる生理・分子的基盤を遺伝要因と環境要因の相互作用の視点から明らかにする。また、睡眠・生体リズムを効果的に調整するための生活習慣の確立とその奏功メカニズム、高齢者の頑健な睡眠維持が健康長寿に資する生理的意義を明らかにする。本年度は、若年健常者において睡眠・生体リズム調節機能に関わるメチル化領域を同定するため、20代健常男性10名中4人(平均年齢23歳)の末梢血由来DNAを用いて検出された865,848~866,118箇所のメチル化サイトの解析を進めた。高年健常被験者を対象に睡眠・生体リズム指標と連動して日内変動を示すゲノムメチル化部位を調べるため、60歳以上の健常男性6名(平均年齢66.5歳)をリクルートし、非利き腕に取り付けたアクチグラフを用いて在宅での睡眠状態を調査した。各被験者の平均入眠時刻を起点として睡眠覚醒時刻、食事、照度、温湿度などのマスキング要因を統制した隔離実験室内にて、48時間にわたり睡眠(2夜のポリグラフ検査)および生体リズム指標(低照度下メラトニン分泌立ち上がり時刻)の測定ならびに4時間おきに8ポイント末梢血を採取し、メチル化タイピングを行うため各被験者の血液サンプルからゲノムDNAを抽出した。
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