本研究は、H28年度、29年度横断研究で、引き続く2年は縦断研究で、それぞれ健常者50人、アルツハイマー病患者50人の脳MRI、Aβ及びタウ蛋白のPET画像、生活習慣、遺伝子、認知力データの収集を行う。遺伝子は唾液から非侵襲的に収集し、ApoE対立遺伝子、BDNFのSNPを解析対象とする。脳MRIは形態画像、血流画像、拡散テンソル画像を収集する。生活習慣データは、運動習慣、睡眠習慣、食習慣等の情報を質問紙にて収集する。認知力データは、ウェクスラー記憶検査等で収集する。全てデータベース化し、脳MRI、PET画像と生活習慣、遺伝要因、環境要因、認知力との相関を一般線型モデル、共分散分析等の多変量解析の手法にて横断、縦断的に解析し、併せてこれらの要因の健常群、認知症群への影響の差違を解析する。 令和元年度も被験者からのデータ収集を続けて、データ解析を行った。昨年同様、アミロイドβの集積を、PETによる収集から、MRIのPADREという手法を用いることとして、データ収集を行い、アミロイドPETとの相関も解析を行った。その結果、脳の複数の灰白質領域において、有意な相関がみられたことから、PADREによるデータ収集、解析を行った。更に、疾患群として認知症と相関がある可能性が示唆されている緑内障患者群においてデータを収集、解析し、学会発表も行った。更に、性格特性と脳形態との相関に関しても解析を行い、学会発表を行った。これらの研究成果から、認知症の一次予防を遂行するための基礎研究がさらに進んだ。以上の研究成果は現在論文執筆に向けて更なる解析を進めており、生活習慣、遺伝要因のみならず、性格特性や疾患といった、様々な観点から、認知症のリスク評価及び一次予防に関する研究を推進した。
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