研究課題
次世代吸収性スペーサーを用いた小動物実験による生物的安全性と吸収速度の確認を6週齢のWislerラットの腹腔に圧縮型ダブルラッセル編みスペーサーに挿入し、動物用CTで厚みの変化を継時的に測定した。予想に反して圧縮型ダブルラッセル編みスペーサーでは小動物の腹腔内留置において弾性が弱く圧排され、当初予定した厚みの保持をする事が困難であった。そのため、スペーサーに用いる主材料、加工方法を改変し、弾性の評価、in vivoでの性能を評価した。新規加工法を考案、また試作品を作成する事に時間を要したが、作成できた新スペーサーではトロカールの内腔を通して体内に入れることができるよう、手で加え得る程度の力で大幅な圧縮や変形が可能であって、しかもそのような変形の後でもほぼ元の状態へと復元できた。本スペーサは生分解繊維により構成されており、表裏の主表面を有し厚みのある柔軟な構造体であり、連結部は一対の主表面部の全域にわたって両主表面部を架橋するように延びて両者を連結している密集した連結糸の集合体として構成されている。新スペーサーでは弾性は良好に確保されていた。腸管と次世代吸収性スペーサーの癒着の程度と原因の検討した。従来のPGAスペーサーの安全性評価では体重変化や摂食障害は認めないものの、剖検ではスペーサーと腸管との軽度癒着が確認された。肉眼的癒着スコアを用い、継時的変化を確認した。顕微鏡的なスペーサー材質が吸収された後の腸管壁の損傷の有無、炎症細胞の浸潤の程度を実験動物の組織切片を作製し、光学、蛍光顕微鏡を用いて観察を行い、スペーサーの生体内における影響の機序を検討した。
1: 当初の計画以上に進展している
予想に反して圧縮型ダブルラッセル編みスペーサーでは小動物の腹腔内留置において弾性が弱く圧排されてしまっており、当初予定した厚みの保持をする事が困難であった。そのため、スペーサーに用いる主材料、加工方法を改変し、弾性の評価、in vivoでの性能を評価した。
次世代圧縮性スペーサーの挿入方法としてロカールの内腔を通して体内に入れることができるよう、手で加え得る程度の力で大幅な圧縮や変形が可能であって、しかもそのような変形の後でもほぼ元の状態へと復元する放射線治療用スペーサーを検討した。そのため、圧縮され変形された状態でトロカールの内腔に入れられ、トロカールを通ってその先端から体内側に導入された後は,圧縮状態から元の状態へと復元できることから、患者を開腹せずに放射線治療に用いることが可能となるため、実用性の高い次世代スペーサーとなり得る。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (2件)
Practical Radiation Oncology
巻: 8 ページ: e63~e70
10.1016/j.prro.2017.10.014
International Journal of Radiation Oncology*Biology*Physics
巻: 100 ページ: 972~979
10.1016/j.ijrobp.2017.12.263
Journal of Radiation Research
巻: 59 ページ: 316~326
10.1093/jrr/rry009
Surgery
巻: 162 ページ: 1241~1249
10.1016/j.surg.2017.08.006
Journal of Neuro-Oncology
巻: 136 ページ: 317~326
10.1007/s11060-017-2655-x
Physics in Medicine & Biology
巻: 62 ページ: 6226~6245
10.1088/1361-6560/aa7d7f
巻: 98 ページ: 367~374
10.1016/j.ijrobp.2017.02.030
巻: 58 ページ: 17~23
10.1093/jrr/rrw065