研究課題/領域番号 |
16H05397
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
西井 龍一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 主任研究員(定常) (60463212)
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研究分担者 |
加川 信也 滋賀県立成人病センター(研究所), 画像研究部門, 主任研究員 (10393191)
川井 恵一 金沢大学, 保健学系, 教授 (30204663)
小川 数馬 金沢大学, 新学術創成研究機構, 准教授 (30347471)
東 達也 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 部長(定常) (50324629)
木村 寛之 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (50437240)
小川 衣未 (松本衣未) 宮崎大学, 医学部, その他 (70752723)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 癌 / 画像診断 / PETイメージング / EGFR |
研究実績の概要 |
細胞増殖、血管新生、浸潤・転移の誘導、アポトーシスと密接に関係する上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor, EGFR)のチロシンキナーゼ(tyrosine kinase, TK)に着目した新規のポジトロン画像診断(PET)用薬剤の開発に着手した。 高いEGFR-TK阻害活性を有するには、gefitinibを代表とするキナゾリン骨格の4位に芳香環が導入され、その芳香環の3’位にハロゲン基のような電子吸引基が必要である。我々はその条件を満たすPET用薬剤:4-(anilino)pyrido[3,4-d]pyrimidine derivative ([18F]APP-1)の一つの合成に成功した。昨年度合成に成功したイメージング化合物(F-18 APP-1)の基礎検討継続に加えて、今年度はをさらに新規イメージング化合物(F-18 FTP-2)の合成に成功し、動物実験にて腫瘍集積コントラスト向上を達成できた。培養細胞実験では、この[18F]APP-1は、L858R 変異EGFR発現腫瘍細胞への集積し、L858R/T790M EGFR発現腫瘍細胞への集積がないことが確認できた。担癌マウスを用いたPETイメージング実験で、L858R 変異EGFR発現腫瘍細胞の描出に成功した。この成果は国際英文雑誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor; EGFR)のチロシンキナーゼ(tyrosine kinase; TK)に着目した新規のポジトロン画像診断(PET)用薬剤の候補化合物の合成に成功し、生化学的検討、動物実験での検証ができ、その成果の一部を英文論文発表できた。 さらにSPECTイメージングにも応用しうる放射性ヨード化合物の標識合成の目処も立っており、イメージング評価が近い。
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今後の研究の推進方策 |
①EGFR-TK選択的阻害剤の合成、②放射性フッ素標識体の合成、③癌細胞を用いたPET薬剤の細胞内取り込み実験および代謝解析実験の検討を前年度に引き続き行っていく。④ 担癌動物によるPET薬剤画像化とEGFR活性半定量のための画像解析 マウス及びラットを用いたPETの有用性検討と画像解析法開発さらには将来の臨床応用を視野に入れた基礎検討を行っていく。これまでの成果で、F-APP-1、F-FTP2のような画像診断候補薬剤の合成に成功した。これらあるいはさらなる薬剤検討も継続して行う。 ⅰ) 担癌動物を用いたPET検査:EGFR発現パターンの異なる肺癌をヌードマウス或いはヌードラット皮下に移植した担癌動物モデルを作成し、動物用PET装置にてダイナミックイメージングを行う。同じモデル動物を用いたEGFR阻害薬(gefitinib等)負荷時のPET画像検査を行い、集積阻害効果も検討する。 ⅱ) PETデータを用いたトレーサの薬物動態解析:得られたPET画像データを基にトレーサの体内動態を経時的に算出し、PET薬剤の特異的臓器集積性や排泄性、血中クリアランスを一度に半定量的に評価する。 ⅲ) PETの臨床応用に向けた検討をすると同時に投与薬剤の動物モデルに対する毒性試験や放射線被曝線量計算により生体への安全性を検証する。毒性試験についてはマイクロドージングコンセプトに基づいた検討を行う。特に放射線被曝線量計算では、投与放射能量とPETダイナミック画像データの全身の関心領域の放射能カウントから得られる各臓器の放射能残存及び排泄の経時変化を専用のソフトウェアに入力しヒトにおける放射線被曝線量のシミュレーションを行いPETの適正を確認する。この検討では相応の研究費配分が望まれる。毒性試験は外部委託を予定する。放射線被曝線量計算は西井、小川、木村、佐治が実績を有しており、検討可能と考える。
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