今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、膵臓から発生する膵管内乳頭粘液腫脹(IPMN)と胆管内粘液腫瘍(IPNB)のパラフィンブロックから同様にレーザーマイクロダイセクション法により腫瘍細胞を切り出し、そのタンパク質を抽出し、両者の鑑別する新規タンパク質バイオマーカーを同定する。そのためにも、比較的症例数が少ないIPMNとIPNBの症例収集に務める。また関連病院などからこれら症例のパラフィンブロックを使用できるように、共同研究契約を行い、さらに倫理委員会の承認を得る。 また、平成28年度の研究成果と照らし合わせることで、膵管癌と膵管内乳頭粘液腫脹(IPMN)、胆管癌と胆管内粘液腫瘍(IPNB)を鑑別する新規タンパク質バイオマーカーを明らかにする。 これらの新規バイオマーカーは、臨床的には類似した癌を鑑別することができる免疫染色法の開発につながると考える。またこのようなタンパク質発現パターンの相違から、それぞれの発癌メカニズム、癌の進展や転移様式の相違が明らかになると考えられ、そのような点から癌の治療に一石を投じることができればと考えている。 また、プロテオミクス解析が先行したが、遺伝子変異に関しても、膵管癌と胆管癌、IPMNとIPNBとの比較を、KRAS, GNAS, TP53, RNF43, SMAD4, CDKN2, BAP1, ARID1Aなどの遺伝子について解析を行う。
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