研究課題/領域番号 |
16H05427
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
秋田 利明 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (30167837)
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研究分担者 |
森 健策 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (10293664)
久田 俊明 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任教授 (40126149)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心不全 / 心筋配向 / マイクロCT / シミュレーション / 心臓リモデリング |
研究実績の概要 |
平成28年度に引き続きビーグル犬を用いて、高頻度刺激8週間による心不全心臓モデルを作成した。4週目に心臓サポートネットを装着し、治療群とした。高頻度刺激を行わないものを正常心とした。心エコーによる心機能評価を高頻度刺激開始前と8週後に行った。評価後心臓を摘出し、ホルマリン固定パラフィン包埋を行い、マイクロCT撮影を行った。一部標本で十分なコントラストが得られず心筋配向解析が困難な例があったので、一旦ビーグル犬での検討を中断し、ウサギ摘出心を用いてヨード染色によるコントラスト増強、ホルマリン固定ではなくエタノール固定を検討した。 diffusion tensor MRI法(DT-MRI)による心筋配向評価とは逆に、マイクロCTによる心筋配向評価には組織の脱水が重要であることを見出し、エタノール固定条件を確定した。ビーグル犬を用いて構造テンソル法にて詳細に検討した。十分な心筋配向評価が可能であったビーグル犬の正常心2匹と不全心1匹の平均の心筋配向角度(第一ベクトル方向)はともに外層-60度、内層+60度だったが、不全心で分散が大きかった。心筋シートの角度(第2ベクトル方向)は正常心50.6度、46.2度だったのに対し不全心では57.4度とより立った角度になった。Web上で公開されているJohn Hopkins Universityのビーグル犬の正常心、不全心DT-MRIデータを用いて、心筋配向を解析した。左室内側(56°±9°vs 42°±2°)、外側(-40°±10°vs-35°±14°)と不全心の心筋配向がより急峻で、従来の報告と異なった結果だった。 これらの心筋配向解析結果を3次元ベクトルデータとして、UT-Heart研究所に提供した。研究成果を北米放射線学会、SPIE、コンピュータ外科学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初考えていたマイクロCTによる心筋配向解析が、心筋コントラストが十分でなく解析が困難な例があり、十分な心筋コントラストを出す手法の開発に時間を要したためやや遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
ウサギ摘出心を用いてマイクロCTによる心筋配向解析に適した摘出心固定方法(高濃度エタノール固定、ヨウ化ヨウドカリウム染色)を確立したので、順次同手法でビーグル犬摘出心を固定・染色し、マイクロCTによる心筋配向解析を行っていく。すでに統計処理に必要な正常心、不全心、心臓サポートネット治療心を確保しているので、心筋配向結果と心機能との相関関係評価を平成30年度に行う。また得られた心筋配向結果を東京大学(UT-Heart研究所)に提供し、不全心における心筋配向、心筋シート傾きの変化を組み込んだ心機能シミュレーションを構築する。
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