研究実績の概要 |
平成29年度に引き続きビーグル犬の摘出心(正常心、不全心)を用い、①ホルマリン固定、②7.5%ヨードヨウ化カリウム染色、③エタノール処理による脱水、④パラフィン包埋、⑤MicroCT撮像、⑥構造テンソル解析による心筋配向角度および心筋シート傾きの評価を行った。心筋の配向は正常心において外側-60° 内側+60°中間部0°で3層に分かれているとの説明が教科書的であったが、MicroCTによる構造テンソル解析では、外層、中間層、外層の3層にはっきり分かれている訳ではなく、外層-60°から内層+60°に徐々に心筋配向角度は移行していた。またこれまでの報告されてきたように不全心で心筋配向角度が内外層で水平化するわけではなく、中間層の水平化部分が増えている結果となった。また心不全で起こる心筋配向角度の垂直化は、不全心で起こる心臓形状の球状化(心尖部の拡大)を考慮すると正常心との差がなく、心筋繊維のミクロ的な変化というよりマクロ的な形状変化にともなうものと考えられた。研究成果をBiomedical Applications in Molecular, Structural, and Functional Imaging, SPIE、European Association of Cardio-Thoracic Surgery, 日本胸部外科学会総会、日本医用画像工学会大会で発表した。構造テンソル解析による心筋配向解析手法としてJournal of Medical Imagingに投稿した。 今後これらの心筋配向解析結果を3次元ベク トルデータとして、UT-Heart研究所の心臓シミュレーション技術に取り込み、心臓サポートネットの設計に反映させる。
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