研究課題/領域番号 |
16H05430
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡田 克典 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90323104)
|
研究分担者 |
松田 安史 東北大学, 大学病院, 助教 (00455833)
大河内 眞也 東北大学, 環境・安全推進センター, 講師 (40375035)
後藤 昌史 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50400453)
野田 雅史 東北大学, 大学病院, 講師 (70400356)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 肺移植 / 慢性拒絶反応 / 閉塞性細気管支炎 / 間葉系幹細胞 / Muse細胞 |
研究実績の概要 |
肺移植後移植片慢性機能不全(CLAD)の多くは閉塞性細気管支炎(BO)の形で発症し、主として慢性拒絶反応が原因と考えられている。BOは、病理学的に細気管支上皮細胞傷害と内腔へ肉芽形成を特徴とする病態であることから、同種免疫反応による上皮細胞傷害を抑制するとともに、上皮細胞の積極的な再生を促すことが肉芽細胞の増生を防止し、BOの発生を抑制する可能がある。本研究の目的は,免疫・炎症抑制作用を有する間葉系幹細胞(Mesechymal Stem Cell; MSC)ならびに生体の間葉系組織に存在する多能性幹細胞:Multilineage-differentiating Stress Enduring (Muse)細胞による細胞治療が、BOの発症予防ならびに治療に有効であるかどうかを、近年開発されたマウス肺移植BOモデルを用いて検討することである。 まず、閉塞性細気管支炎(BO)を発症するマウス同所性左片肺移植モデルで、報告通りにBOが発現するかどうかを病理学的に検討した。この結果、再現性にやや問題はあるものの、移植肺にはボ病変がみられることが明らかになった。次に、同モデルを用い、移植直後から7日毎にヒトMSC、Muse細胞、PBS(コントロール)を静脈内投与した。移植後42日目にグラフトを採取して、BO発症の程度を形態学的に評価した。MSCならびにMuse細胞投与群においては、コントール群と比較し、BOの発生頻度が低い傾向が見られたが、まだ実験数が少なく、統計学的な処理を行うに至っていない。今後は、マウス肺移植の成功率の向上と実験数の増加に努め、さらに研究を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス肺移植は手技的に高度な技術を要する手術である。また、マウス肺移植モデルにおける閉塞性細気管支炎発症の再現性も、もとより完全なものではないため、実験数の確保が予定よりやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
マウス肺移植の成功率は次第に向上してきており、実験数の確保に努める。また、当初予定したマウス同所性移植モデルに加え、動物BOモデルとして広く認知されているものの手技的にやや容易なマウス肺内気管移植モデルを用いた研究も進めていく予定である。
|