研究課題
分子バーコード手法の開発については、EGFR遺伝子変異を有する原発性肺癌手術症例から得られた新鮮凍結組織よりgDNAを抽出し、分子バーコードを用いた次世代シークエンスによって解析を行った。分子バーコードを使用したシークエンスと使用しないものと解析を行い比較検討することで、分子バーコードによりPCRエラーを除去し再現性のあるデータを得られることが確認された。このようにエラーを判別・除去することで0.2%程度の変異まで正確に検出可能となった。解析した64サンプル中、10.9%のEGFR変異肺がんで複数のEGFR変異(Compound mutation)を認め、特にEGFR G719Xにおいて頻度が高いことを明らかにした。また様々なEGFRチロシンキナーゼ(EGFR-TKI)耐性細胞株を樹立し、発現プロファイル解析による耐性化予測を行い、上皮間葉移行(EMT)化に関連する耐性克服の新たなバイオマーカー候補分子AXLに着目し、AXL阻害剤Cabozantinibの効果を単剤および従来の分子標的薬との併用実験(in vitroおよびマウスモデル)で確認した。さらに、EMTに注目したドラッグリポジショニング解析により、ポリエーテル系抗生物質であるモネンシンの併用により、EMT化が抑制されEGFR-TKIに耐性化を予防することを明らかにした。これらはこれまでに報告がなく、EMT化が原因となる薬剤耐性肺癌における、新たな治療標的および治療戦略の可能性を示唆する重要な知見と考えられた。PDC・PDXモデルについては、肺癌臨床検体を用いたPDXのなかで、マウス内において高頻度に転移を示す臨床検体を同定し細胞株化に成功した。このモデルを用いて転移および薬剤耐性に関わる候補因子を同定した。今後引き続き、この候補因子に関する機能解析を行うとともに、これらを阻害する効果を有する薬剤の検索を行う。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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BMC Cancer
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