研究課題
閉塞性脳血管障害は、脳卒中の主な原因の一つで、半数以上を占める。閉塞性脳血管障害の病因と病態を解明し、予防法を確立することは、国民の健康増進に大きく寄与する。本研究では、閉塞性脳血管障害の感受性遺伝子のひとつであるRNF213に着目し、①その作用を修飾するヒト遺伝因子の特定、②ヒト凍結血管標本を用いたおよびエピジェネティックメカニズム解明、③iPS細胞による治療候補薬剤スクリーニング、④動物モデルの確立、⑤動物での治療薬効果の検証を行い、臨床研究と基礎研究の往復による多角的なアプローチで、疾患克服を目指す。RNF213の変異を高発現させたトランスジェニックマウスでは、血管新生の異常が観察されるが、血管閉塞やもやもや血管の発達は認められなかった。RNF213の遺伝学的な変化により、もやもや病を含めた血管狭窄が進行するが、動脈硬化との区別などはついていない。High-resolution MRIや高磁場MRIを利用することで、これまでに観察できなかった、脳血管の壁の厚さの変化などを経時的に観察した。
2: おおむね順調に進展している
RNF213の変異を高発現させたトランスジェニックマウスでは、血管新生の異常が観察されるが、血管閉塞やもやもや血管の発達は認められなかった。またRNF213ノックアウトマウスも作成した。このマウスは形態学的に明らかな変異は現時点で認めていない。RNF213の遺伝学的な変化により、もやもや病を含めた血管狭窄が進行するが、動脈硬化との区別などはついていない。High-resolution MRIや高磁場MRIを利用することで、これまでに観察できなかった、脳血管の壁の厚さの変化などを経時的に観察した。
1.遺伝:extreme case control analysisの手法を用いて、RNF213の修飾遺伝因子を特定する。具体的には、RNF213の変異を持っていて発症しない人をコントロールとし、RNF213の変異を持っていないが発症した人をケースとして、genome-wide SNP association studyを行う。もやもや病家系において、変異を持つが発症していない者について、同一塩基多型(SNP)の有無を確認し、真の感受性遺伝因子を絞り込む(。2.iPS:先行研究により、RNF213遺伝子に変異が認められた家系より京都大学医の倫理委員会の承認を得て繊維芽細胞を取得し、iPS細胞を樹立した。iPS細胞を内皮細胞に分化させる方法は確立しているが、平滑筋への分化はなされていないので、このiPS細胞を用いて、平滑筋細胞への分化を誘導する。3.iPS:RNF213変異陽性患者由来のiPS細胞を内皮細胞に分化させ、スクラッチテストを行うと、RNF213変異株では遊走能の低下が認められる。これが閉塞性血管障害に至る原因の一つと仮定し、遊走能を改善させる薬剤を網羅的スクリーニングにより特定する。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件)
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