研究課題
我々のグループの先行研究で報告した、中枢神経系に原発する悪性リンパ腫(Primary Central Nervous System Lymphoma; PCNSL)において全身性悪性リンパ腫と比較して高頻度の変異が認められた遺伝子のうち、特にPCNSLで高頻度 (全身性悪性リンパ腫で10-30%の頻度であるのに対しPCNSLで100%)であった癌原遺伝子PIM1の変異がPCNSLの腫瘍原性においてどのような役割を果たしているのかを解明し、PCNSLに対する新規分子標的治療法を開発する事を目標として研究を開始した。2016年(初年度)は、まず臨床で特に繰り返し高頻度に認められたPIM1遺伝子変異の機能解析を開始し、それらのうち、一部については活性型変異である可能性が示唆された。2017年度、および2018年度はこれらの活性型変異が疑われたPIM1変異につき更なる機能解析ならびに発がんメカニズムへの関与についての検討を行い、今回検討を行った活性型変異体ではPim-1の局在変化を通じて細胞死抑制がもたらされる可能性が示唆された。また、中枢神経系に原発した悪性リンパ腫の全身へ転移した場合、および逆に全身性のびまん性大細胞性B細胞リンパ腫(DLBCL)が中枢神経系に転移再発した場合、それぞれの病巣における遺伝子変異のプロファイルにどのような変異が生じているかについて症例の標本を収集し、パネル解析を行った。2019年度はヒトリンパ腫細胞株へのPIM1遺伝子導入を行い、これまで接着細胞を使用した実験系で得られた一連の結果の再現が可能かどうか検討を行っている。さらに、PCNSLの腫瘍形成にはNF-kB経路関連遺伝子異常などによるNF-kB経路の活性化が大きく関わること, NF-kB経路を標的とした治療はPCNSLの非常に有力な治療法となり得ることを独自に樹立した腫瘍細胞株を通じて見出した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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