研究課題/領域番号 |
16H05443
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
大滝 博和 昭和大学, 医学部, 准教授 (20349062)
|
研究分担者 |
荒田 悟 昭和大学, 教養部, 教授 (20159502)
渡邊 潤 昭和大学, 遺伝子組換え実験室, 助教 (50649069)
吉川 輝 昭和大学, 医学部, 助教 (90737355)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 脊髄損傷 / 骨髄間葉系幹細胞 / ケモカイン / 軸索伸長 / 神経免疫学 |
研究実績の概要 |
我々は、これまでヒト骨髄間葉系幹細胞(hMSCs)がマイクログリアおよびマクロファージ(MG/MP)の活性化を修飾し脳虚血などの神経損傷を抑制することを示唆してきた。当該研究は脳虚血モデル中心に用い、①脳内に移植したMSCs がどのような応答をするのか②その応答はMG/MP の活性を修飾するか③活性化されたMG/MPは神経細胞死の抑制に関与するのか④MSCs-MG/MP パスウェイが神経機能の再生に関与するかを明らかにするために行う。 我々は培養hMSCsに前脳虚血を施したマウスの海馬ホモジネートと偽手術群のマウスの海馬ホモジネートを暴露した際に2倍以上に増加する98 個の候補遺伝子を遺伝子網羅的解析ですでに見出している。そのうち,最も遺伝子発現が高いCCL2遺伝子は虚血刺激や炎症性サイトカインの増加と密接に関連していることを明らかにしている。当該年度は移植したhMSCsがレシピエントケモカインを修飾するか,そしてそれらのケモカインがどのように神経障害と関連するかを脊髄損傷マウスにより明らかにした。MPの遊走に関連するケモカインの遺伝子発現を脊髄損傷後に調べたところ,損傷直後に増加するタイプ(CCL2型)と損傷後数日たってから誘導が認められるタイプ(CCL5型)に分けられた。脊髄内へのhMSCsの移植はこれら両ケモカインの発現を有意に増加した。しかし,CCL22が増加しても炎症性の果粒球の増加は認められず,炎症性マーカーは減少した。一方,CCL5のレセプターは神経とマイクログリアに認められhMSCsの移植は軸索伸長に関わる遺伝子や,修復に関わるマイクログリアのマーカー遺伝子の増加を認めた。さらに,CCL5の脊髄内投与も同様の応答を示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究によりhMSCsの移植により,レシピエントのケモカインも増加することが明らかとなった。ケモカインは炎症の悪化と結び付けられるが,hMSCs移植後の炎症の増加は認められず特にCCL5は神経再生に寄与している可能性を示した。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究によりhMSCsの移植部位におけるレシピエントとの細胞間相互作用の一端が明らかにできた。本年度はそれらをさらに検証するとともにホーミングするマクロファージが神経細胞死とどのように関与しているかを調べていく。
|