研究課題
①Runx IIを標的とした医療開発:ヒト間葉系細胞においてRunx IIの発現上昇に関わる物質を特定,高機能医療材料開発のための非臨床POC確保に向けて、企業と共同研究中である。最適濃度設定を検討しているが、確立に手間取っている。最適濃度の決定が困難である場合はバックアップ化合物の研究を進める予定である。②Wnt/βcateninを標的とした医療開発:変形性関節症でのWnt/βcateninの役割に注目して阻害物質を探索し、抗不整脈薬verapamilが阻害作用を持つことを見出した。既に関節炎抑制効果の訴求項目で製薬企業により特許が成立していたので基礎研究に留まり臨床開発を断念した。別の候補化合物の検討を進め、新たな候補化合物の選定に至った。細胞レベルでの検討は終了している。動物モデルで組織学的、組織生化学的に検討を行っている。③Sox9を標的とした医療開発:軟骨細胞培養治療の促進を目的にSox9遺伝子の発現増強する化合物を検討した。候補化合物を得て、動物実験を行った。本化合物はSOX9の発現を高めるもののその作用はPTHを介したもので最終的には骨化を促進するものである事を確認し、軟骨細胞治療薬としては不適当であった。候補化合物を求めて一次screeningからの検討を再開した。④神経軸索伸長作用を持つ物質の医療開発:神経軸索の伸長作用を持つ物質を既存薬より見出した。ラット坐骨神経挫滅モデルでの神経回復は確認さして、論文化した。末梢神経障害の神経回復作用を電気生理学的、組織学的に確認後したので、末梢神経障害治療薬としての臨床開発の可能性を検討している。⑤FOP (進行性骨化性線維異形成症)に関する医療開発:一次Screeningで遺伝子導入を行う細胞種、二次screeningでの刺激による用量相関確定に用いる細胞種での設定を見直したが問題が多い。
2: おおむね順調に進展している
①Runx IIを標的とした医療開発:予想外の細胞毒性が見られ、濃度の最適化が難渋している。平行してバックアップ化合物の検討を進める。②Wnt/βcateninを標的とした医療開発:新たな候補化合物の選定に行い、一部細胞レベルでの検討結果を得た。動物モデルで予備的な検討を開始して、良好な結果を得ている。③Sox9を標的とした医療開発:当初予定していた化合物は全体として、骨化を促進するものであった。当初目的に合うSox9特異的な候補化合物を求めて一次screeningからの検討を再開した。④神経軸索伸長作用を持つ物質の医療開発:末梢神経障害治療薬としての臨床開発に向けて適応症の検討を開始している。⑤FOP (進行性骨化性線維異形成症)に関する医療開発:Screening時に使用する条件によって結果が異なる事象が解決されない。本病態自体が想定以上に複雑な背景を持つ可能性があり、全体を検討し直す必要がある。全ての項目が順調にしている訳ではないが、当初の申請内容に従い順調に進む課題に資源を再配分することにより、進捗の促進が図られている。
既に進捗が困難な課題も見られるので新たに標的物質を追加して研究体制を維持する。⑥TRPV4を対象とした医療開発:TRPV4は軟骨系細胞でSox9発現・維持に関与することが知られている。既にATDC5細胞でTRPV4発現亢進が軟骨細胞分化に促進効果を持つことを示した。TRPV familyを対象とした化合物screening系を開発し、候補化合物による効果を軟骨組織保護効果を検討する予定である。⑦FGFG23阻害効果化合物に関する医療開発:luciferaseレポーター遺伝子導入細胞株を樹立して、一次Screening系を確立する。使用する細胞種は導入細胞樹立が比較的容易なHEK293細胞もしくは骨芽細胞系のcell lineを用いる予定である。研究には想定外の困難もあるがそれに対応する研究計画になっている。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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