研究課題/領域番号 |
16H05446
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石黒 直樹 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20212871)
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研究分担者 |
鬼頭 浩史 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (40291174)
今釜 史郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40467288)
水野 正明 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院教授 (70283439)
高橋 伸典 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (20570196)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Runx II / drug reposionning / Wnt/βcatenin / 神経軸索伸長 |
研究実績の概要 |
①Runx IIを標的とした医療開発:濃度の最適化は終了している。担体の形状を新たに設計し直し、ウサギに対する動物実験を開始した。結果を待っている状況である。この化合物については用法特許が取得できており前臨床POCの確立に努める。②Wnt/βcateninを標的とした医療開発:新たな候補化合物の選定し、動物モデルで組織学的な検討を行った。一部に良好な結果を得たものの当初の期待値に達していない。再度、化合物選びから始める予定である。③Sox9を標的とした医療開発:化合物の再Screeningを行い、物質を得たが、結局内軟骨性骨化機序の促進によるSox9上昇は認めるものの最終的には骨化に向かう結果に終わった。開発を断念した。④神経軸索伸長作用を持つ物質の医療開発:末梢神経障害治療薬としての臨床開発に向けて適応症を決定し、用法特許を取得した。前臨床POCの確立に努め,医師主導型の臨床研究を開始する予定である。⑤FOP (進行性骨化性線維異形成症)に関する医療開発:Screening時に使用する条件によって結果が異なる事象が解決されない。開発を断念した。⑥TRPV4を対象とした医療開発: 軟骨系細胞でSox9発現・維持に関与することが知られているTRPV4を標的とした化合物Screeningを継続して行っている。幼弱な軟骨細胞で新たな知見を見出した。⑦FGFG23阻害効果化合物に関する医療開発:luciferaseレポーター遺伝子導入細胞株を樹立して、一次Screening系を確立を試みたが、達成に至らなかった。⑧新たな標的を探索し、化合物検討を始める予定である。開発研究を断念したものが複数領域存在する。本年はそれに代わる新たな標的分子を設定して研究を続ける。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全ての項目が順調にしている訳ではないが、予想以上の進展を見せるprojectもある。 ①Runx IIを標的とした医療開発:企業との共同研究を更に進める。担体の形状・薬剤濃度の決定に時間がかかり遅れていたがこれら問題に解決がつき、本格的にウサギ実験を開始する予定。この化合物については用法特許が取得できており前臨床POCの確立に努める。結果をもってPMDAの対面助言を予定している。②Wnt/βcateninを標的とした医療開発:Dkk1まで範囲を拡げて検討したが、十分な結果は得られていないので、再度細胞種類を変更してscreening系を立ち上げる予定である。細胞種類によって反応が違う結果を今までに得ており、これらを考慮してヒト細胞での検討を予定している。③抗てんかん薬ゾニサミドが運動神経の軸索伸長効果を有することを発見し、坐骨神経切断モデルマウスの軸索再生および下肢運動機能改善を確認した。また脊髄損傷モデルマウスにおける下肢運動機能改善効果も確認し、脊髄損傷部尾側での各種神経栄養因子の増加が得られた。以上から神経再生作用があると結論した。神経障害治療薬としての臨床POC確立を目的に小規模な臨床研究を計画している。有効性が確認できれば、無作為対照試験に進む予定である。 ④TRPV4を対象とした医療開発:当初の目標に達成出来ていない。軟骨細胞への分化程度により結果が異なる印象を得ており、今後の開発研究の方向性を含め検討する必要がある。基礎的な研究が不足している。軟骨細胞分化と受容体発現を絡めて再度検討し直す必要がある。 その他開発研究を断念したものが本年2領域存在するが、本年はそれに代わる新たな標的分子を設定して研究を続ける。臨床研究段階が1project, 前臨床POC段階が1projeect ある。
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今後の研究の推進方策 |
全ての項目が順調にしている訳ではないが、当初の申請内容に従い順調に進む課題に資源を再配分することにより、進捗の促進を図っている。今後も研究を進める領域とその方策を示す。 ①Runx IIを標的とした医療開発:前臨床POCの確立に努める。動物実験なので時間がかかっているが、検討項目の見直しも予定して研究の進捗迅速化を図る。結果をもってPMDAの対面助言を予定している。②Wnt/βcateninを標的とした医療開発:滑膜細胞等ヒト由来細胞に細胞を変更してscreening系を立ち上げる直す。細胞種類によって反応が違う結果を今までに得ており、これらを考慮して抗炎症効果に絞り検討を予定している。抗炎症治療薬の開発に変更する。③抗てんかん薬ゾニサミドで神経障害治療薬としての臨床POC確立を目的に小規模なopen labelの臨床研究を計画している。有効性検討項目の選択を慎重に行う事と研究データの信頼性向上に向けて大学内支援センターとの協議を始める。④TRPV4を対象とした医療開発:当初の目標に達成出来ていない。基礎的な研究が不足している。軟骨細胞分化と受容体発現を絡めて再度検討し直す必要がある。分化段階もしくは環境による反応性の違いが解明されないと今後の開発は困難である。基礎研究を継続する。進捗が困難な課題では中止し、常に標的物質を追加して研究体制を維持している。
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