研究課題
令和元年度は12例の患者検体を用いて細胞株の樹立作業を行い,in vitroで安定的に増殖する細胞株を3株,このうちin vivoでも継続的な腫瘤形成を示すことを確認できたものを1株得た(未分化多形肉腫, undifferentiated pleomorphic sarcoma).本細胞株はヌードマウス皮下注にて腫瘤を形成し動物実験を行うことが可能である.未分化多形肉腫は未分化間葉系細胞から発生する悪性度の高い軟部肉腫で,疾患特異的な遺伝子異常が報告されておらず有効な薬物療法に乏しい.Paraneoplastic syndromeを呈する患者から新たに樹立された未分化多形肉腫細胞株はin vitro, in vivoの実験系で未分化多形肉腫患者の病態を反映し,今後本疾患の病態解明や新規分子標的治療法開発のための有用な研究ツールとなることが期待される.ユーイング様小円形細胞肉腫は若年成人に発生する極めて予後不良の悪性軟部腫瘍である.病理組織学的に小円形細胞腫瘍の形態をとることから,ユーイング肉腫と診断されることが多かったが,ユーイング肉腫に特異的なEWS-FLI1融合遺伝子が検出されていなかった.近年の研究により本疾患でCIC-DUX4融合遺伝子の発現が検出され,CIC-DUX4 sarcoma (CDS)なる新たな疾患が提唱されている.研究チームが樹立したユーイング様小円形細胞肉腫細胞株はCIC-DUX4融合遺伝子を発現しており,ヌードマウスへの皮下注射により形成された腫瘍は臨床検体と同様の小円形細胞腫瘍を呈し,ヒト腫瘍をマウス背部に再現するものであった.さらに本細胞株はIGF-1/IGF-1Rシグナル伝達路を恒常的に活性化しており,IGF-1R阻害剤, linsitinibがin vitro, in vivoで極めて高い抗腫瘍効果を発揮することが判明した.本細胞株の生物学的機能解析と治療実験結果を英文雑誌で公表した.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件)
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