脊髄損傷不全麻痺に於いては受傷後約1ヶ月程度まではかなりの運動機能回復が認められるが、細胞生物学的にどのようなメカニズムで脊髄損傷後の機能回復がもたらされるのかは殆ど解明されていなかった。我々は、脊髄損傷後に浸潤したマクロファージは、IRF8-プリン受容体を介した補体C5aへの能動的な走化性により損傷中心部へ移動することが組織修復に重要であり、このメカニズムが不全麻痺における神経機能の自然回復機構に寄与していること明らかにした。これらの結果はこれまでの治療法とは全くコンセプトの異なる新たな脊髄損傷に対する治療戦略を提唱している。
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