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2017 年度 実績報告書

ヒト肉腫幹細胞制御と新規免疫記憶T幹細胞応答の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H05451
研究機関札幌医科大学

研究代表者

塚原 智英  札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20404634)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード肉腫幹細胞 / 骨肉腫 / 好気的解糖系 / がん抗原
研究実績の概要

骨肉腫幹細胞の分離と骨肉腫幹細胞抗原の同定を目指して研究を行なった.はじめに造腫瘍能の極めて高い新規骨肉腫細胞株OS13を樹立した.そしてOS13を限界希釈法によりクローン化し,増殖速度の早いクローン(OShigh)と増殖速度の遅いクローン(OSlow)を樹立した.OShighはOSlowに比較して,in vitroおよびin vivoにおいて高い造腫瘍能を示し,またエネルギー代謝を好気的解糖系に大きく依存するとともにミトコンドリア呼吸機能が低下していることがわかった.OShighに高く発現し,正常組織で発現の少ない肉腫幹細胞抗原候補LIN28Bを網羅的トランスクリプトーム解析により同定した.LIN28Bは種々の肉腫細胞株および生検組織で発現がみられ,正常組織では精巣および胎盤のみに発現する,いわゆるがん精巣抗原(cancer-testis antigen)様の発現パターンを示した.shLIN28Bを用いた解析により,LIN28BはOS13の造腫瘍能を増強していることがわかった.そしてLIN28BはOS13の好気的解糖系依存に関わり,OS13の造腫瘍能は解糖系阻害薬によって抑制されることがわかった.
LIN28BよりHLA-A24拘束性CTLエピトープペプチドの同定を試みた.健常者末梢血と候補ペプチドを混合培養し,HLA-A24/LIN28Bペプチドテトラマー陽性T細胞が誘導された.現在テトラマー陽性T細胞よりCTLクローンの樹立を行なっている.
以上の成果は,骨肉腫に対する解糖系阻害療法およびがんワクチン免疫療法の複合治療の可能性を示唆するものである.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

肉腫幹細胞における代謝機構を解析した研究は例がなく独創的である.そしてこれまでの研究成果は骨肉腫に対する解糖系阻害療法およびがんワクチン免疫療法の複合治療の可能性を示唆するものである.

今後の研究の推進方策

マウスモデルにおいて肉腫幹細胞の造腫瘍能に対する解糖系代謝阻害薬の効果を検討する.
解糖系阻害薬による肉腫幹細胞の抗がん剤感受性の変化を検討する.
LIN28B特異的T細胞クローンの骨肉腫細胞に対する殺傷効果を検討する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Peptide vaccination could elicit strong immune responses and be re-boosted by anti-PD1 therapy in a sarcoma patient2017

    • 著者名/発表者名
      塚原智英、亀嶋秀和、照井健、渡邉一絵、鳥越俊彦
    • 学会等名
      第21回日本がん免疫学会総会
  • [学会発表] Identification of a novel human T cell population with the characteristics of stem-like chemo-resistance2017

    • 著者名/発表者名
      Tsukahara T, Murata K, Shibayama Y, Emori M, Mizushima E, Tadano H, Torigoe T.
    • 学会等名
      THIRD CRI-CIMT-EATI-AACR International Cancer Immunotherapy Conference
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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