研究課題
関節軟骨損傷部に自家軟骨細胞シートを移植することにより、硝子軟骨での再生/修復が促進することが確認されており、現在同種軟骨細胞シートを移植する臨床研究が進められている。軟骨細胞シートの軟骨修復メカニズムとして、軟骨細胞シートから産生される軟骨同化作用を持つ因子の産生が骨髄由来幹細胞の軟骨分化促進に寄与していると推定されている。細胞シートの軟骨修復メカニズムを明らかにすることは、自然には修復しないといわれている関節軟骨の再生に有用な因子の同定につながる可能性がある。本研究では、軟骨修復作用が認められている成人膝軟骨細胞シートが分泌する因子の網羅的な解析を行い、硝子軟骨再生メカニズムに寄与する新たな因子の探索を行った。異種同所性移植モデルによる軟骨修復作用の評価で、軟骨修復作用に優劣が認められた軟骨細胞シートの培養上清(12例分)について、アプタマー法によるタンパク質解析(Somascan)を実施し、1129種のタンパク質の相対量を解析した。骨軟骨発生関連因子とされる6因子を含む26因子に軟骨修復作用との関連性が示唆された。これらの中から軟骨関連因子の他、関連が未知の因子についてもELISA法により上清中への産生量を確認した。細胞シートからの産生が確認できた因子について、修復作用が低下する細胞シート作製条件下での遺伝子発現変化、産生量の変化等を解析した結果、Wntシグナル抑制因子、炎症反応制御因子、増殖因子で、軟骨修復作用と相関した変化を示すことが確認された。軟骨修復作用を認めた細胞シートのエクソソームに特徴的なmiRNAの予測標的遺伝子は、カドヘリンシグナル経路とWntシグナル経路の遺伝子が含まれ、これらの経路を修飾する可能性が考えられた。そこで、エクソソームに特徴的なmiRNAについて、RT-PCRによる発現が確認された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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NPJ Regen Med
巻: 4 ページ: -
10.1038/s41536-019-0069-4
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