研究課題/領域番号 |
16H05456
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
酒井 大輔 東海大学, 医学部, 准教授 (10408007)
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研究分担者 |
檜山 明彦 東海大学, 医学部, 講師 (00514382)
升井 伸治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (20342850)
平山 令明 東海大学, 先進生命科学研究所, 教授 (70238393)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 椎間板 / 再生医療 / 転写因子 / iPS細胞 |
研究実績の概要 |
腰痛は世界的に障害の根本的な原因とされており、健康管理と社会保障制度に対しての、重大な社会経済的負担に結びついている。椎間板障害は腰痛の主要因である。我々は、分化細胞と幹細胞から椎間板髄核細胞へ直接リプログラミングすることを探索した。細胞リプログラミングは、マスター調節因子転写因子の発現を変えることで確立することができる。しかし、一般的には、髄核細胞表現型の調節はあまりよく理解されておらず、髄核細胞のマスター調節因子転写因子はまだ決定されていなかった。そこで、髄核細胞表現型に必須で関連性が高い転写因子が突き止めるために総合的なスクリーニングアプローチを試みた。我々はマイクロアレイやiPSC干渉アッセイ、siRNAアッセイ、遺伝子アップレギュレーションアッセイ、直接細胞リプログラミングを適用した。その結果、これまでの研究期間において、髄核細胞マーカー(免疫組織化学でのACANとCOL2A1とKRT18など)の顕著な発現を誘導する強力な3つの転写因子の組み合わせを軸としたリプログラミング方法を見いだした。 具体的には線維芽細胞に以前に除外された転写因子を補足した転写因子のTを遺伝子導入し、さらにFOXQ1を追加するとACANを含む髄核細胞のマーカー発現が増強することが判明した。さらにTとSox6、FOXQ1の遺伝子導入は間葉系幹細胞においてもCD24やACAN、COL2A1、KRT18などの髄核細胞のマーカー遺伝子の発現が有意に増強することが解った。最終年度はこれらの誘導細胞をin vivoで機能解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度でin vivo実験が終了すれば研究が完遂できる。 具体的には全身麻酔下のラットに椎間板変性を誘引するために尾骨の椎間板の穿刺と髄核吸引を行う。次に、マスター転写因子が遺伝子導入されていないSham群、マスター転写因子が遺伝子導入されている間葉系幹細胞をそれぞれ変性椎間板中に注入する。椎間板変性進行からの修復能力をX線撮影と組織学的に評価し、Sham群と遺伝子導入されていない細胞とマスター転写因子導入細胞を比較する。最終評価では、最適な単―クローンをマイクロアレイにより解析して、誘導髄核細胞全体の遺伝子発現プロファイルについて導入されていない間葉系幹細胞および髄核細胞と比較する。
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今後の研究の推進方策 |
我々は発見したマスター調節因子の組み合わせに関する検討を続け、シングルセルソーティングを使用してGFPと髄核細胞の細胞表面マーカー(例えばCD24とTie2)の陽性細胞を単一クローンとして増殖させることを目指す。トップ5の単ークローンを3Dペレット培養し、軟骨形成のマトリックスの生産力を調べる。髄核細胞マーカーのタンパク質発現レベルは免疫組織化学とウエスタンブロット法で確認する。最も強力なリプログラムされた細胞株の椎間板変性修復能力確認のために、生体内状態で調べる、動物実験を行う。鎮静中に状態の雄ラットに椎間板変性を誘引するために尾骨の椎間板の穿刺と髄核吸引を行う。次に、マスター転写因子が遺伝子導入されていないSham群、マスター転写因子が遺伝子導入されている間葉系幹細胞をそれぞれ変性椎間板中に注入する。椎間板変性進行からの修復能力をX線撮影と組織学的に評価し、Sham群と遺伝子導入されていない細胞とマスター転写因子導入細胞を比較する。最終評価では、最適な単―クローンをマイクロアレイにより解析して、誘導髄核細胞全体の遺伝子発現プロファイルについて導入されていない間葉系幹細胞および髄核細胞と比較する。
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