研究課題/領域番号 |
16H05469
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大須賀 穣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80260496)
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研究分担者 |
廣田 泰 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40598653)
平池 修 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20529060)
甲賀 かをり 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10396723)
平田 哲也 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30431860)
原田 美由紀 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70451812)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 妊娠 / 子宮 / プロゲステロン / 細胞老化 / リモデリング / マクロファージ |
研究実績の概要 |
老化細胞は生理的に妊娠子宮に出現することが知られており、分娩後も子宮に存在することが考えられる。老化細胞の独特の性質を考えると、老化細胞の除去は産褥子宮の機能回復に重要であることが推測される。しかし、産褥子宮における老化細胞の動態や、それが過剰に蓄積した際の子宮機能障害の詳細は明らかになっていない。本研究では、産褥子宮における老化細胞の挙動とその除去機構を検討した。老化細胞は産褥子宮間質に存在し、徐々に減少して分娩後約1か月で消失した。また、Cd11b陽性細胞、NK細胞、T細胞、及び好中球は産褥子宮に認められなかった一方で、F4/80陽性マクロファージが老化細胞周囲に集積し、老化細胞のクリアランスを促進していることが示された。さらに、産褥子宮に老化細胞が過剰に蓄積するマウスモデルを用いて、老化細胞の過剰な蓄積を引き起こす子宮内微小環境の詳細を解析した。LPS誘導性早産p53-loxP/Pgr-Creマウス子宮では老化細胞のクリアランスの遅延、F4/80陽性マクロファージの減少、分娩直後の妊娠率の顕著な低下、向炎症因子の発現増加、プロゲステロン・シグナリングの亢進とエストロゲン・シグナリングの減弱が認められた。本研究により、産褥子宮には老化細胞が存在し、F4/80陽性マクロファージによって除去されること、子宮内に老化細胞が過剰に蓄積することにより妊娠障害が誘起されるほか、子宮内の炎症やプロゲステロン・シグナリング減弱によって老化細胞除去機構の障害が引き起こされることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
マウスおよびヒト検体を用いた研究が順調に行われており、その成果として本年度はプロジェクトに関連した論文を複数の英文誌に発表することができた。これらの成果をさらに発展させ、最終年度の研究進展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進展し成果を上げているため、今後の研究は進展が認められる研究計画を中心に進める予定とする。
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