研究課題
日本における子宮体癌の発症率は年々増加しており、新しい予防法と治療法の開発が求められている。本研究では、遺伝子改変により作製した子宮体癌モデルマウスを用いて、子宮内膜上皮の過形成から類内膜腺癌、さらに遠隔転移に至る過程を包括的かつ経時的に解析し、子宮体癌の発症と進展に関与する危険因子の同定とその作用機序の解明を試みることを目的とした。本年度は、2種類の子宮選択的Pten欠損マウス、子宮体癌を自然発症するPten-PRcreと子宮内膜上皮過形成を自然発症するPten-LTFcre、に対する卵巣ステロイドホルモン(エストロゲン及びプロゲステロン)の影響が、どのような分子メカニズムによって制御されているのかについて検討を行った。その結果、プロゲステロンはPtenが欠損している間質において、妊娠子宮の脱落膜化の際に発現が誘導される遺伝子の発現が増加していることが明らかとなった。また、比較的高い濃度のエストロゲンは、子宮体癌の扁平上皮化を誘導するが、膣上皮が分化する際に誘導される遺伝子の発現が増加していることが明らかとなった。また本年度は、子宮体癌の進展に関わると考えられた候補遺伝子が、子宮体癌の進展にどの様な影響を与えるかについて解析した。子宮体癌モデルマウスより樹立した細胞株にこの遺伝子を過剰発現した場合は腫瘍の形成能が上昇し、逆に、この遺伝子をノックダウンした場合は腫瘍の形成能が低下したことから、この遺伝子が実際に子宮体癌の進展を促進することが明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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PNAS
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