研究課題/領域番号 |
16H05474
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
丸山 哲夫 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10209702)
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研究分担者 |
内田 浩 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90286534)
升田 博隆 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80317198)
小野 政徳 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (70348712) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 光遺伝学 / 子宮内膜 / 幹細胞 / 再生医療 / 脱細胞化 / 再細胞化 / 遺伝子制御 / 細胞治療 |
研究実績の概要 |
本研究「光遺伝学と組織工学の技術を用いた子宮内膜機能の制御と治療への展開」では,①光照射により子宮内膜の特定の細胞における特定の遺伝子の発現を時空間的に制御するシステム,②子宮内膜から細胞を除去して得られた細胞外基質のみを有する足場(脱細胞化子宮内膜骨格, Decellularized Endometrial Scaffold,DES)を細胞・組織の導入・運搬・維持の担体として用いるシステム,の二つのシステムを統合的に開発することを通じて,子宮内膜の構造・機能不全に対する新しい細胞治療の基盤知見および基盤技術を得ることを目的とした.本年度は,①の基盤となる光応答性ゲノム編集システムを確立した研究グループから,そのシステムを構成する各種ベクターを入手するのが遅れたため,主に上記②について,ラット子宮を用いて重点的に行った.【A】内膜のみを全層性に除去・欠損させた群と【B】内膜の子宮腔内面を擦過することで表層のみを欠損させた2群を作成し,それぞれにDESを移植させることにより,欠損部位の構造ならびに機能の再生・修復が起きるかを調べた.その結果,前者【A】については,組織の再生・再構築は一部に留まり,明らかな管腔構造などは呈しなかったものの,後者【B】については管腔・腺管構造やmassとしても組織の再構成・再構築が認められた.【A】の方がより広範囲・重度の内膜欠損を反映しているので,管腔構造の形成をアシストするデバイスも含めたモデル開発を現在行っている.少なくとも【B】は,内膜(部分)欠損および修復モデルとして,本研究の今後の実験のプラットフォームになり得る知見が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の基盤となる光応答性ゲノム編集システムを確立した研究グループから,そのシステムを構成する各種ベクターを入手するのが遅くなったため,本年度予定していたそれらに関連する実験が遅れた.その代わり,平成29~30年度に予定していた「脱細胞化骨格を用いた子宮内膜の再生・再建の開発」の実験を行った結果,基盤となるデータが得られつつあるので,全体での進捗状況としては「やや遅れている」とした.
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今後の研究の推進方策 |
光応答性ゲノム編集システムを構成する各種ベクターを入手することが出来たので,これを用いて,まずin vitroでの細胞,特に内膜関連細胞を用いて,このシステムが予想通り作動するかを確認し,その至適条件を探索し決定する.既に,光源装置および光(LED)照射装置は入手済みなので,スムーズに推進していくことが可能である.また,内膜欠損モデルについては,より重度の内膜全層欠損モデルの開発を行う一方,ほぼ確立出来たと考えられる内膜部分欠損モデルを同時に用いていくことで,実験を停滞させることなく推進していく予定である.
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