研究課題/領域番号 |
16H05474
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
丸山 哲夫 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (10209702)
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研究分担者 |
内田 浩 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90286534)
升田 博隆 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80317198)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 光遺伝学 / 子宮内膜 / ゲノム編集 / CRSPR/CAS9 |
研究実績の概要 |
今年度は前年度に遅れていた光照射による子宮内膜細胞における時空間的制御システムについて研究を進めた。まずin vitroでの光応答性ゲノム編集が可能なベクター(光応答性CAS9)を293細胞に導入し、青色LED光によりCAS9の発現を免疫染色法により確認した。さらにEpCAM(CD326) プロモーターでluciferase遺伝子が制御されるベクター(EpCAMprom-Luc)や蛍光蛋白質Venusを組み込んだ子宮癌細胞株を作製し、各々のプロモーター領域のgRNAを作成した。光応答性CAS9ベクターとgRNAを共導入し、青色光24時間照射を行った。結果として、青色光により発光・蛍光の減弱が発光バイオイメージング(IVIS)や蛍光免疫染色法により認められた。 次にin vivoにおいて光応答性CAS9が機能するかについて検討した。免疫不全マウスに先述のEpCAMprom-Lucを組み込んだ子宮癌細胞株をマトリゲルと共に注入し、皮下腫瘍を形成させた。その腫瘍内または腹腔内に光応答性CAS9ベクターとgRNAを共導入し、青色光を24時間照射した。その結果、光照射により腫瘍内および腹腔内投与群共に発光・蛍光の減弱がIVISで確認できた。さらに子宮は消化管より後腹膜側に位置することから、青色光の到達が子宮に到達し得るかについての検討も行った。免疫不全マウスの子宮下部を強制的に結紮し、子宮内に上記と同様の子宮癌細胞を注入し生着させた。その後、腹腔内に光応答性CAS9ベクターとgRNAを共導入し、青色光24時間照射を行った。その結果、発光・蛍光の減弱をIVISにより確認することができた。これらのことから少なくともマウスレベルで in vivoの光応答性ゲノム編集システムは機能することが明らかとなり、脱細胞化子宮内膜骨格と統合した研究へ発展させることが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
In vitro及びin vivoにおける光応答性CAS9システムが稼働することは確認できたが、子宮内膜細胞への光応答性CAS9システムの確立までには至ることは出来なかった。この点から全体の進捗として「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
安定的に光応答性CAS9システムを搭載した細胞を確立し、光応答性CAS9搭載した細胞または特定の遺伝子導入内膜細胞を利用したゲノム編集システムと脱細胞化子宮内膜骨格を統合させ、任意の時空間で遺伝子発現制御を行えるモデルを構築する予定である。また脱細胞化子宮内膜骨格をin vitroで再細胞化する場合は、これまで共同研究で行って得られたヒトiPS細胞由来の子宮内膜細胞を用いることも予定している。
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