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2016 年度 実績報告書

内因性免疫による頭頸部ウイルス発癌における内分泌撹乱物質の関与と新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16H05480
研究機関金沢大学

研究代表者

近藤 悟  金沢大学, 附属病院, 講師 (70436822)

研究分担者 吉崎 智一  金沢大学, 医学系, 教授 (70262582)
室野 重之  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20345622)
脇坂 尚宏  金沢大学, 医学系, 准教授 (70377414)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード内因性免疫
研究実績の概要

今年度には中咽頭癌・上咽頭癌組織における性ホルモン受容体と内因性免疫の免疫組織学的解析を行った。パイロットスタディの通り、HPV陽性中咽頭癌ではエストロゲン受容体の発現が強い傾向があった。またEBV陰性の上咽頭癌ではエストロゲン受容体が強く発現する傾向があった。他のアンドロゲン受容体やプロゲステロン受容体は他の癌腫との相違もあるが有意な結果は認めなかった。
また、内因性免疫因子の発現を免疫組織化学的に解析を行った。上咽頭癌においても中咽頭癌においてもAPOBEC3A. APOBEC3G, AIDの発現がウィルス陽性であると強い傾向があることが判明した。その反面、APOBEC1, 4, APOBEC3B, DE, F, Hは有意な結果は認めなかった。また、HPV陽性の中咽頭癌ではエストロゲン受容体が高いサンプルではAPOBEC3Aの発現が高い傾向にあることがわかった。更に予後解析を行うとHPV陽性中咽頭癌の中でもエストロゲン受容体が高い傾向にあることが判明した。このことからHPV陽性中咽頭癌の発癌あるいは転移機構にはエストロゲン受容体を介したシグナル伝達機構が重要であることが示唆された。これまで子宮頚がんでは発癌する上で、HPVのがん遺伝子であるE6, E7に加え、エストロゲン受容体とエストロゲンの刺激が必要であり、エストロゲン受容体をノックアウトすると子宮頚がんが発生しなくなることがわかっている。このことから中咽頭がんにおいてもこれらの要素が重要であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初平成28年度は性ホルモン受容体と内因性免疫の組織学的解析を中心に行う予定であり、また有意と思われるデータもいくつか見出すことができたため。

今後の研究の推進方策

今後は、さらにサンプルを増やすとともに、上咽頭癌の凍結組織からDNA, RNAを抽出し内因性免疫因子、エストロゲン受容体を始めとした性ホルモン受容体のmRNAレベルをリアルタイムPCRで解析を行う。また、宿主遺伝子、ウィルス遺伝子中の遺伝子変異量を3D-PCRおよびシークエンスにて解析を行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Expression of secreted protein acidic and rich in cysteine is an independent prognostic indicator of a poor clinicaloutcome in oropharyngeal carcinoma patients2016

    • 著者名/発表者名
      Yoshida S, Wakisaka N, Kondo S, Moriyama-Kita M, Hirai N, Endo K, Tsuji A, Nakanishi Y, Murono S, Yoshizaki T
    • 雑誌名

      Acta Otolaryngol

      巻: 135 ページ: 189-194

    • DOI

      10.3109/00016489.2015.1103381

    • 査読あり
  • [雑誌論文] T-status and an oral fluoropyrimidine, S-1, adjuvant chemotherapy are prognostic factors in reduced-RADPLAT for resectable hypopharyngeal cancer2016

    • 著者名/発表者名
      Wakisaka N, Hirai N, Kondo S, Aga M, Nakanishi Y, Tsuji A, Endo K, Murono S, Yoshizaki T
    • 雑誌名

      Acta Otolaryngol

      巻: 136 ページ: 834-840

    • DOI

      10.3109/00016489.2016.1157728

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Head and Neck Tumor 頭頸部腫瘍 ヒトパピローマウイルス陽性中咽頭癌 Ⅰ.病態2016

    • 著者名/発表者名
      近藤悟、吉崎智一
    • 雑誌名

      癌と化学療法

      巻: 43 ページ: 833-836

    • 査読あり
  • [学会発表] HPV16関連中咽頭癌における内因性免疫因子APOBEC3によるウイルス遺伝子変異導入とインテグレーションの関係2016

    • 著者名/発表者名
      近藤悟、脇坂尚宏、吉崎智一
    • 学会等名
      第75回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2016-10-06 – 2016-10-08

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公開日: 2018-01-16  

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