研究課題
【背景】MidkineはHeparin-binding growth factorの一種で、頭頸部扁平上皮癌を含め多くの癌で高発現しているが、成人の正常組織ではほとんど発現がみられない。【目的と方法】Midkineの発現量が高い頭頸部癌細胞であるT891(ヒト舌癌細胞)、および既にMidkineの発現量が高いと報告されているA549(ヒト肺胞基底上皮腺癌細胞)を使用した。Midkineをプロモーターとしてウイルスの増殖に必要なE1A・E1B遺伝子を組み込んだ制限増殖型アデノウイルス(Ad-MK)を作成し、更に、このウイルスにEGFRに対するsiRNAの遺伝子を組み込んだ制限増殖型アデノウイルスAd-MKsiEGFRを作製した。【結果と考察】in vitroではAd-MK、Ad-MKsiEGFRともに頭頸部癌細胞の増殖を著明に抑制できた。Ad-MKsiEGFRのsiRNAの効果もmRNAおよび蛋白レベルで確認でき、2重の抗腫瘍効果が確認された。今後さらにin vivoでの検証が必要ではあるが、本ウイルスは、Midkineを高発現する腫瘍細胞でのみ特異的に増殖して腫瘍を殺傷するとともに、EGFRの発現を抑制することにより腫瘍の増殖を抑制する能力を併せ持つことが期待でき、再発率が高く予後不良である進行性頭頸部癌の新たなより効果的な治療の開発に向けた基礎的な研究となった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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