研究課題/領域番号 |
16H05483
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
中村 亮介 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 室長 (50333357)
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研究分担者 |
岡本 美孝 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (40169157)
岡本 好海 (内田) 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 任期付研究員 (40716792)
秋山 晴代 帝京平成大学, 薬学部, 講師 (50420229)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アレルゲン舌下免疫療法 / EXiLE法 / IgE / IgG / バイオマーカー / ルシフェラーゼ |
研究実績の概要 |
アレルゲン舌下免疫療法(SLIT)は、スギ花粉症に代表されるアレルギー疾患の自然史に介入し、根治が期待できる有望な治療法である。しかし、治療が長期に渡る一方、必ずしも全例が奏効するとは限らないことが問題となっている。そこで本研究では、SLITのメカニズムの解明に取り組むとともに、患者血清中からSLITによる治療の奏効性を早期に予測するバイオマーカーを探索し、アドヒアランスや治療成績の向上に資することを目的としている。 一方、申請者は近年、培養マスト細胞株の活性化に基づく独自のアレルギー試験法「EXiLE法」を開発した。この手法は、特異的アレルゲンに対するIgEの架橋活性だけでなく、血清中IgG等による中和活性を評価することができる。そこで今年度は、2シーズン以上に渡ってスギ花粉症のSLITを実施した患者13名を患者の治療スコア(TNSMS)の改善群と悪化群に分け、血清中IgEによるEXiLE応答性を経時的に比較することで、SLITの奏効性と相関するバイオマーカーを探索した。中和活性は、感作後の細胞を刺激前に洗浄する場合としない場合を比較して求めた。 その結果、治療開始前のEXiLE応答性は改善群と悪化群とで有意に異なることが分かった(P=0.010)。また、SLIT実施患者の血清中中和活性は、治療開始直後よりも2シーズン目に、より顕著に増加した。これらの結果は、SLITにより血清中に中和抗体が増加するとともに、SLIT開始時の特異的IgEの架橋能はSLIT奏効性を予測するよいバイオマーカー候補であることを示唆している。今後、より多くの例数で上記の結果の再現性を確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で使用する患者血清は、平成29年6月に施行された研究倫理の新指針に対応し、千葉大学において採血されたものをMTA契約後オプトアウトにより提供することとしているが、両機関での契約文の修正と受入事務が想定以上に滞り、11月末にようやく受領できた。この間、購入した代替試料で条件設定を試みたが、期待した活性が出ず、再度条件設定を行う必要性があることから、研究計画が5ヶ月遅延することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
患者血清検体を平成29年11月に受領できたため、これらを用いて条件検討を再開し、試験条件決定後に本解析を実施する。千葉大学での患者血清およびその抗体価等の情報は着実に収集を継続しているため、今後もこのペースで安定的に患者血清が供給されれば、研究期間内に当初目的を達成することは可能と考える。
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