研究課題
我々は、当研究室で開発した多波長に感受性を持つチャネルロドプシン遺伝子を用いた遺伝子治療による視覚再生法を検討している。神経節細胞に光感受性遺伝子を導入し、神経節細胞のみで光受容を行い視覚を再建するものである。しかしながら、単一のタンパク質で、全ての波長を感受するため色覚は無いと考えられる。本研究では波長感受性の異なるチャネルロドプシン遺伝子を導入し、色覚および光感受性を高め、より生来の視覚に近づけようとするものである。平成29年度に局所に遺伝子を導入する方法を開発し、網膜での局所発現が可能となったが、その一方で視神経に対して毒性を示すことが判明した。そこで平成30年度は、AAVの血清型を変更し、プロモーター制御による細胞特異的遺伝子発現による方法を検討した。血清型を選択することにより、神経節細胞だけでなくより深層にある神経細胞に遺伝子導入できることが判明した。また、ラットの視力評価を行うために、オプトモーター反応に加え、新たに形態認識、色覚を評価する機器を作製し視機能評価を行った。一方、チャネルロドプシンを用いた視覚再生研究では、光感受性が低いことが知られている。これに対し、新たにステップ関数型ロドプシン(SFO)の開発に成功した。SFOは幅広い波長光の刺激で陽イオンチャネルとして機能し、短い光刺激でイオンチャネルが開いた状態が持続するものである。また、短波長(紫)刺激で、強制的にイオンチャネルを閉じさせることが可能である。現状では、行動学的評価による明確な色覚弁別を実証することはできなかったが、期待した結果が得られない要因を特定することができた。今後、AAVの血清型の選択ならびに新規に開発したSFOの利用により生来の機能に近い視覚を作り出せる可能性が高まった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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