研究課題
緑内障は、網膜神経節細胞の軸索である視神経がダメージを受け、神経細胞生存に必要な物質をやりとりする軸索輸送が停止することで、網膜神経節細胞が細胞死を起こすため、視機能障害が進行し、最終的には失明に至る日本人の失明原因トップに位置する難治性眼疾患である。眼圧が高いほど、視神経障害を生じやすく、眼圧をより低く下げる治療が行われている。しかし、眼圧が正常であるにもかかわらず、緑内障の進行する正常眼圧緑内障が非常に多く、正常眼圧緑内障患者には、脳脊髄液圧が低い症例が多いことがわかり、眼圧と脳脊髄液圧との圧較差が視神経障害を進行させるリスク因子である可能性が高い。そこで、圧較差を篩状板で中和する濾過手術をおこない、眼圧が下降するか、視神経障害の進行を抑制させることができるかを検証する動物実験をおこなった。カニクイザル10匹に新規緑内障濾過手術をおこなった。術後12ヶ月間まで、アイケアを用いて眼圧を測定した。その結果、術後6ヶ月目まで有意に眼圧は下降した。シャム手術をおこなった対側眼の眼圧値をコントロールとして比較したところ、術眼の眼圧は有意に下降していた。また、OCTを用いて、視神経乳頭の形状を解析したところ、神経線維層厚の変化は、術眼の方が抑制効果がみられた。眼球を摘出して、パラフィン切片を作成し、シャント部分が有効に機能していることが確認できた。10例の主な有害事象は、硝子体出血を認めたが自然軽快した。網膜剥離や術後感染を認めたものはなかった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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