研究課題/領域番号 |
16H05487
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
不二門 尚 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50243233)
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研究分担者 |
森本 壮 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00530198)
松下 賢治 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40437405)
神田 寛行 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50570248)
三好 智満 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70314309)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 視覚再生 / 網膜電気刺激 / 網膜色素変性 |
研究実績の概要 |
ラマン分光法を用いた網膜神経の機能評価(正常か変性が進行するか)に関しては、これまでに、還元型cytochrome c(cyt c)は、ラマンスペクトラムで750cm-1前後の波数のピークで見分けることが可能であり、還元型cyt cが細胞内で貯蔵されているミトコンドリアを描出することができることを示してきた。本年度は、ミトコンドリアの酸化還元状態を画像化できることに着目し、それによって培養網膜細胞(RGC-5)の性状を評価できるかを、ラマン画像と免疫染色や電験写真、ミトコンドリア電位測定と比較検討した。結果、cyt cの酸化還元状態を示すラマンシグナルは、他の免疫染色や電験写真、ミトコンドリア電位測定と同様にミトコンドリアの性状を示すことがわかった(Morimoto T, Fujikado T, et al. Using redox-sensitive mitochondrial cytochrome Raman bands for label-free detection of mitochondrial dysfunction. Analyst. 2019 ;144(8):2531-2540)。 皮質刺激型人工網膜の基礎となる電気生理学的研究では、脈絡膜上経網膜刺激(STS)による神経細胞の反応の時間的特徴と効率を調べるために、様々な周波数の連続刺激を与え、ネコ外側膝状体中継細胞から単一ニューロン活動を記録した。どの細胞にもバースト状のスパイク発火が生じていたが、最大の発火率を生じる周波数は、連続するバースト発火が干渉しあうために50Hzを越えず、臨床で用いている周波数(20Hz)の妥当性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工網膜の基礎として、網膜電気刺激による効果を最大にする電気刺激のパラメータとして、連続刺激による最適の周波数に関する動物実験を行った。その結果現在臨床で用いられている、20Hzの妥当性が示され、EBMとなった。ラマン分光による網膜神経細胞の性状評価法が確立され、電気刺激による神経保護の機構の解明の基盤が確立した。
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今後の研究の推進方策 |
網膜組織をラマン分光法を用いて測定し、網膜組織の性状評価が可能かどうか、正常網膜と変性網膜(視神経視切断―網膜神経節細胞変性)を比較し、検討していく予定である。 STSの連続刺激による外側膝状体中継細胞の反応について、ON型細胞・OFF型細胞、Y細胞・X細胞それぞれの細胞タイプ別に、ある程度の数の単一ニューロン活動記録のサンプリングを行い、タイプ毎の反応の時間的特徴と最大の発火率を生じる周波数を明らかにする予定である。
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