研究課題
本研究においてヒトiPS細胞を用いて肝細胞へ分化誘導するプロトコールを確定した。ラット肝臓より作製した脱細胞化肝臓組織に、分化誘導した肝細胞様細胞をもちいて再細胞化し、培養液を門脈より循環させることで、in vitroにて48時間培養した。この再細胞化肝臓の組織像と機能を評価した。再細胞化肝臓において、肝実質腔内に肝細胞が整然と配列され、viabilityも保っていることが確認された。また、免疫染色にてアルブミン、αフェトプロテイン、Cyp3a4などの肝細胞に特徴的なマーカーの発現を確認でき、RT-PCRにても同様のマーカー発現を確認できた。培養液中にはヒト・アルブミンを検出することができ、以上の成果を論文として報告した。次に、脱細胞化組織を用いた再生研究を肝臓だけでなく小腸にも応用することを試みた。ラットの小腸を脱細胞化し、まずは生体ラットの小腸壁の一部を切除し、脱細胞化組織をパッチとして修復する方法を用いた。その後、小腸を切離して、脱細胞化組織を管腔のまま小腸に端々吻合することで小腸の再生を試みた。手術後に一定期間を経てサンプルを回収して観察したところ、脱細胞化組織内には生体の小腸より平滑筋が徐々に延伸している像を得ることができた。また、神経細胞のマーカーで染色したところ、神経も平滑筋に沿って脱細胞化組織内へ延伸している所見を得ることができた。脱細胞化組織を用いることで、肝臓のみならず小腸の再生にも有効である可能性を示した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
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