研究課題
近年、四肢のリンパ浮腫に対する局所の外科的リンパ系再構築法として、血管柄付きリンパ節移植の臨床報告が相次いでいる。移植リンパ節への血流がリンパ節の生着と機能の維持に重要とされるが、移植リンパ節への血流の有無により、その形態・機能を比較した報告は少なく、臨床応用に際しても、いまだ術式は標準化されていないのが現状である。そこでマウスを用いて、移植リンパ節への血流の有無を異とするモデルを作製し、モデル間で移植リンパ節の形態・機能を比較することで、より効率的・機能的なリンパ組織移植法を検証することを目的とした。これまで、左鼡径リンパ節に流入する浅腹壁動脈を茎とするリンパ節脂肪弁を挙上し、同側の膝窩リンパ節摘出部に移行する血管柄付きリンパ節移植モデルを確立した。その研究結果を踏まえ、Group 1:有茎血管柄付きリンパ節移植群、Group 2:有茎血管柄結紮リンパ節移植群、Group 3:遊離リンパ節移植群の3群を作製し、下記の方法で各群を比較した。術後4週目に移植リンパ節への輸入リンパ管再疎通の観察後、移植リンパ節および対側鼡径リンパ節を摘出し、HE染色および高内皮細静脈(high endothelial venule, HEV)等に対する免疫組織化学染色により組織学的に評価した。移植リンパ節への輸入リンパ管再疎通率は、Group 1が65.0%、Group 2が66.7%、Group 3が46.7%であった。各群の輸入リンパ管再疎通のあった移植リンパ節と対側鼡径リンパ節の間の多群間の比較では、リンパ節における総HEV数に占める拡張HEV数の割合は、Group 1がGroup 2およびGroup 3よりも有意に多かった。血管柄付きリンパ節移植は、機能的HEVを保持することにより、移植リンパ節の免疫能の観点からも有用である可能性が示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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