研究課題/領域番号 |
16H05493
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森 亮一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30509310)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | miRNA / 炎症 / 黄色ブドウ球菌 / 感染 / 好中球 / 皮膚創傷治癒 / Il6 |
研究実績の概要 |
我々は、次世代シークエンスおよび炎症細胞が成熟しない PU.1 KO マウスを用いて、マウス皮膚創部における炎症に依存して発現誘導される miRNA として miR-223 を同定した。そして、miR-223 KO マウスを導入し、皮膚創傷治癒解析を行った。 その結果、miR-223 KO マウスは、野生型(WT)マウスと比較して、好中球の過剰な活性化と相まって、皮膚創傷治癒(無菌性モデル)が遅延した。次に、創部における miR-223 標的 mRNA を包括的同定する目的で、RNA シークエンスを行った。その結果、miR-223 標的 mRNA としてインターロイキン-6(Il6)を同定した。Il6 は炎症性サイトカインであり、急性炎症に関与する好中球から分泌されることが明らかとなっている。そこで miR-223 と Il6 mRNA の結合解析を行った。その結果、miR-223 は Il6 mRNA 3’UTR に結合し、Il6 翻訳抑制に関与していることが明らかとなった。 次に黄色ブドウ球菌(S. aureus)感染モデルを用いて、S. aureus 感染創における miR-223 の機能解析を行った。その結果、S. aureus 感染 miR-223 KO マウスは、S. aureus 感染 WT マウスと比較して、膿瘍面積の拡大及び Il6 発現上昇と相まって、皮膚創傷治癒が促進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は miR-223 KO マウスを用いて、皮膚創傷治癒過程における miR-223 の生物学的意義の解明を中心に行った。その結果、無菌創においては miR-223 必須であるが、逆に黄色ブドウ球菌感染創では、miR-223 欠損が治癒改善効果に有利に働くことが明らかとなった。一方、生体イメージングに資する miR-223 KO マウスの作製にも成功し、研究は問題なく進捗している。以上の理由により、「おおむね順調に進展している」と考えた。
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今後の研究の推進方策 |
miR-223 は主に好中球に発現している。また好中球は、黄色ブドウ球菌排除に必須の炎症細胞である。今後は、マウス及びヒト由来好中球における miR-223 の機能解析を推進させる。 また、細胞移植治療やmiR-223 アンチセンスオリゴの開発を行い、miR-223 人為的制御による黄色ブドウ球菌感染創改善効果を検討する予定である。
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