研究課題
敗血症における心機能障害は予後を左右する因子のひとつである。本研究の目的は顆粒球コロニー刺激因子ノックアウトマウス(G-CSFKOマウス)を用いて敗血症性心機能障害における好中球の関与メカニズムを検討し、さらにペプチドを用いた血管内皮障害部位特異的薬物送達による新規治療を確立することである。大腸菌由来のリポ多糖(LPS)を20mg/kgの濃度で9-12週齢のG-CSFKOマウスに腹腔内投与し敗血症性血管炎を全身に起こした。生存率が80%(24/30)24/30だったのに対し、同腹仔のWild typeWild type(WT)マウスでは17%(6/35)とG-CSFKOマウスでは著明な改善を認めた。心筋トロポニンIについてもG-CSFKOマウスでは有意な低下を認めており(0.9 ± 0.8 ng/dL vs 5.3 ± 1.8 ng/dL, p < 0.01)G-CSFKOマウスでは敗血症性血管炎において心筋障害が抑制されていることが証明された。また、微小循環の恒常性維持に重要な役割を果たしているグリコカリックスの構造が心臓毛細血管内皮で障害されていることをレクチンを用いたIntensituy Scoreの計測と電子顕微鏡による超微形態の確認により、微小血管障害による虚血が心筋障害を引き起こしていることを確認し、敗血症性心筋障害の原因として好中球の関与を示唆した。以上の実験から好中球による炎症の増悪が敗血症性心筋障害に深くかかわっていることが考えられたため、抗炎症作用を持つと報告されているステロイドを用いて検討を行ったところいずれも生存率、心筋トロポニンIの逸脱を改善したが、さらにホーミングペプチドを用いて通常の全身投与と比較し、ごく少量で同様の効果発現が確認できた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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