研究実績の概要 |
重症熱傷や難治性潰瘍の治療への応用を見据えた皮下脂肪細胞から皮膚線維芽細胞へのダイレクトリプログラミング技術を利用した直接分化について検討を行った。当初、マウス生体由来の脂肪細胞の初代培養に難渋したため、OP9 細胞から脂肪細胞への分化誘導を行い、8割程度の分化効率を得ることができ、この細胞を利用することになった。ダイレクトリプログラミングにはレトロウィルスベクターを使用し、6つの候補遺伝子とGFPをPlatinum E cellへ導入したところ、フローサイトメトリー解析で4割程度の感染率を確認した。マウスの尾より採取した皮膚線維芽細胞をpositive controlとし、感染後の遺伝子発現の変化をリアルタイムPCR法で検討した。その結果、脂肪細胞の指標として用いた4種類(PPAR-2, c/EBP, aP2, Leptin)の発現は経時的に減少した。一方で、予備検討より線維芽細胞の指標として適切と考えられたThy-1の発現の有意な変化は確認できていない。形態的な変化については、細胞内の脂肪滴が縮小し、線維芽細胞に特徴的な紡錘型に変化した細胞が散見された。
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