研究課題
II型糖尿病ラットの用いたマイクロアレイ解析およびSDラットの切歯より採取した歯髄細胞を用いた培養系の確立を行った。マイクロアレイ解析においては石灰化関連マーカーにおける変化は比較的軽微でS100といった炎症関連マーカーの顕著な発現が認められた。培養系に関しては、切歯歯髄を採取し組織を数回継代したのちにglycationをかけたコラーゲン培地上にて培養を行った。Alizarinred染色においては非グリケーション群と比較して顕著な石灰化の亢進が認められ、SEMによる反射電子像解析やTEMによる分析により細胞周囲で顆粒状の石灰化が起こっていることが確認できた。元素分析においてもCaとPのピークが確認できリン酸カルシウムが析出していることが分かった。さらに培養においては14日目,21日目の時期における石灰化の亢進が顕著で14日目以前の比較的初期における細胞の動態において分析化学的な評価を進めている。培養系の評化から糖化により基質コラーゲン内に生成されるAGEsはラット歯髄細胞の増殖、分化に影響を与えないが、石灰化を促進することが明らかになった。これはAGEsが分化後の歯髄細胞において石灰化基質の形成やカルシウムの沈着に直接影響を与えている可能性を示唆している。また糖化による架橋されたコラーゲンが石灰化物形成の足場として役割を果たしている可能性も考えられる。本研究で確認されたAGE/RAGE系を介した石灰化誘導のメカニズムはいまだ不明な点が多いが、①基質への修飾が石灰化を促進させる可能性および②AGEs自体が細胞のReceptorなどと反応して石灰化を促進させる可能性を検討していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
ラット由来の歯髄細胞の採取および培養系を確立することができた。また、形態学的、分析化学的手法にて石灰化の評価が可能となった。本来29年度中に完了させる予定であったが、当初の培養系の確立と評価手法をより厳密な手法にすることが出来たため実験の進捗には特に問題は生じていない。
培養系の確立からPCR、免疫組織化学的手法、超微形態学的手法を用いてさらなる現象の解明を進めていく予定です。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 6件)
Clin Oral Investig.
巻: 21(1) ページ: 309-317
10.1007/s00784-016-1792-5
Dental Material Journal
巻: 36(6) ページ: 842-850
10.4012/dmj.2017-105.
Pediatric Dental Journal
巻: 27 ページ: 173-178