研究課題/領域番号 |
16H05518
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究科, 教授 (20210627)
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研究分担者 |
赤坂 司 北海道大学, 歯学研究科, 准教授 (00360917)
山本 悟 北海道大学, 歯学研究科, 助教 (10344524)
平田 恵理 北海道大学, 歯学研究科, 助教 (10722019)
佐藤 義倫 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30374995)
東野 史裕 北海道大学, 歯学研究科, 准教授 (50301891)
湯田坂 雅子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, ナノ材料研究部門, 招聘研究員 (70159226)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | カーボンナノ物質 / 表面処理 / チタン / 表面処理 / 生体適合性 / 骨形成 / 体内動態 / イメージング |
研究実績の概要 |
平成28年度においては以下の研究を行った。 1.PEG-CNTの体内動態の検索:生体透過性が高く生体イメージングに適した近赤外(NIR)光の波長域である1000-1300nmにおいて蛍光を発する単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)を用いて、マウス頭蓋部皮下と大腿骨骨髄腔に埋入したSCWNTsの体内動態を経時的に観察するとともに透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した。埋入部位においては、経時的に減弱するものの蛍光が観察されたが、埋入部位以外では、蛍光は観察されなかった。またTEMにおいても埋入部位以外には観察されなかった。以上より、局所(皮下および骨髄腔)に埋入したSCWNTsは、肝臓、脾臓、肺などの他の臓器にほとんど移行せず、埋入部位に留まることが示唆された。 2.カーボンナノホーン(CNHs)の陽極酸化チタン(ANTi)への表面修飾:電圧300V、処理時間180秒の条件下で泳動電着を行うことによって、ANTiにCNHsが最も均一に固着することが確認された(CNHs-ANTi)。CNHs-ANTiは、in vitroにおいて骨芽細胞の増殖を促進するとともに、in vivoにおいて優れた骨組織との適合性を示すことが明らかとなった。 3.CNHsのマクロファージと骨髄間質細胞(hMSCs)への影響評価:マクロファージとhMSCを共培養し、CNHsを添加したところ、ALP活性が有意に上昇した。これは、CNHsを貪食したマクロファージが分泌したOncostatin Mにより、hMSCsの分化が促進されたことによるものと推察された。以上より、CNHsはマクロファージを介して骨形成を促進することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、局所埋入したSWCNTsの体内動態観察、CNHsの陽極酸化チタンへの表面修飾、CNHsのマクロファージを介した骨形成メカニズムの解明を行った。CNHsのマクロファージを介した骨形成メカニズムについての報告は、Nanoscaleに掲載された。局所埋入したCNTsの体内動態の観察、CNHsの陽極酸化チタンへの表面修飾についての結果は、海外、国内において学会発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
CNHsに対する酸化処理の条件を変化させることにより分散性の制御を行い、薬剤やグロースファクターを担持させる。生体内での分散性や細胞内の局在については、HRTEM等を用いて分析する。またコラーゲンゲルやコラーゲンスポンジと複合してin vitroでの効果をタンパクレベルおよび遺伝子レベルで解析する。さらに、in vivoにおける反応を組織学的に評価するとともにCNHsの構造の変化についてもHRTEMを用いて解析する予定である。
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