研究課題/領域番号 |
16H05518
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (20210627)
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研究分担者 |
赤坂 司 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (00360917)
山本 悟 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10344524)
平田 恵理 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10722019)
佐藤 義倫 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30374995)
東野 史裕 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (50301891)
湯田坂 雅子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 招聘研究員 (70159226)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | カーボンナノ物質 / カーボンナノホーン / インプラント周囲炎 / ミノサイクリン / 抗菌性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,カーボンナノ物質 (CNMs)に,抗生剤ならびにグロースファクターなどの複数の薬剤を徐放をコントロール可能とする形で担持させ,デンタルインプラント,Guided Bone Regeneration (GBR)用膜などに応用することである.本年度は,インプラント周囲炎に頻用される抗生剤であるミノサイクリンを,CNMsのひとつであるカーボンナノホーン(CNHs) に担持させ,細菌への効果を検証した.未処理のCNHsと大気酸化したCNHs (CNHox) をそれぞれミノサイクリン塩酸塩(MC)水溶液に混和し,超音波分散を行うことにより,MC/CMHs,MC/CNHox溶液を調整した.吸収スペクトル測定と熱重量解析の結果,MCはMC/CNHsの表面に吸着しているが,MC/CNHoxではCNHox内部に存在する可能性が示唆された.CNHs単独ではAggregatibacter actinomycetemcomitans (Aa菌) に対して全く抗菌性を示さなかった.MC/CNHsは,MC単独と同等の効果を示したが,MC/CNHoxでは,効果の減弱が認められた.細菌培養後の透過型電子顕微鏡による観察では,細菌周囲にCNHsが存在していることが確認された.以上の結果から,抗生剤であるミノサイクリンを担持させることにより,CNHsに抗菌性を持たせることが可能であること,さらにはCNHsの酸化はミノサイクリンの担持の状態,さらに抗菌性に対して影響を与えることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗生剤であるミノサイクリンをカーボンナノホーン(CNHs)に担持させ,静菌作用を付与することが可能となった.CNHsの酸化処理によりミノサイクリンの吸着状態が変化したことから,酸化処理は,静菌作用に影響すると考えられた.これは,本研究の目的のひとつである徐放性の制御に応用できると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
CNHsの酸化処理条件を変化させることで,ミノサイクリンの徐放性の制御を行う.また,CNHsを酸化することにより生体内での分解性が向上することが明らかになっているため,各条件で酸化したCNHsの生体内分解性についてin vivoにて確認する.さらに本研究の目的である,CNMsへの複数の薬剤やグロースファクターの担持を目指し,MC/CNHsにBMPなどの骨形成を促進するグロースファクターを担持させ,その効果をin vitroおよびin vivoにて効果の検証を行うとともに,生体内での分解について検討する.
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