研究課題/領域番号 |
16H05522
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
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研究分担者 |
辻村 恭憲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)
伊藤 加代子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80401735)
真柄 仁 新潟大学, 医歯学総合病院, その他 (90452060)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 咀嚼 / 嚥下 / 歯科 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
本研究は,ヒトおよび動物を対象とした実験を並行して行っている. ヒト実験では,過去に申請者らが,咀嚼運動が嚥下反射誘発を遅延させることを発見した実験を発展させて,10分間の刺激後に長期効果(随意嚥下回数の増加)を見出したことを論文化することができた(Takeishi et al, PLOSONE, 2018).また,咀嚼を中心とした顎口腔顔面領域の機能が,嚥下誘発に関わる末梢刺激やその認知との間にどのような相互作用をもつか検討する前に,種々の咀嚼条件が運動様式にどのような違いをもたらすかについて昨年に引き続き生理学的に解明し, 1)自由咀嚼,時間規定咀嚼,回数規程咀嚼などを設定しても咀嚼時の咬筋活動には大きな違いはないものの,食塊形成や食塊移送はお互いに異なり,続く嚥下運動は自然咀嚼の時が最もその負荷が小さいこと,2)同じ食品を摂取する際の咀嚼時間は個人間で大きく異なるが,それは咀嚼能力に依存するのではなく,咀嚼時の食塊移送や食習慣に依存するものであることが示唆される基礎データを得た(論文投稿準備中). 動物実験においては,嚥下運動誘発に関わる末梢の神経路として上喉頭神経,大脳皮質の嚥下野(島皮質)誘発性の嚥下時の三叉神経反射(開口反射,閉口反射)の振幅を比較し,いずれの嚥下時にも三叉神経反射は有意に抑制されることが明らかとなった(Suzuki et al, Brain Res, 2018).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト実験では,咀嚼に伴う高次脳への効果を検証するにいたっていない.動物実験においては,中枢神経活動の変調の定量的評価を行っている最中である.いずれも今年度の課題である.
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今後の研究の推進方策 |
ヒト実験においては,咀嚼運動の個人差を生む要因となる高次機能の役割,唾液分泌などの末梢条件について明らかにする.また,高齢者を対象としたデータ採取を行い,唾液分泌量を含む末梢機能の違いが咀嚼様式にもたらす効果を検証する.さらに,咀嚼運動によってもたらされる高次機能の変化をTMS,大脳皮質感覚野の誘発電位を計測することにより明らかにしたい.動物実験では,麻酔動物を用いた三叉神経,視床,大脳皮質感覚運動野ニューロン記録を開始していることから,反射の変調が脳幹,上位脳のいずれに及ぶかについて明らかにする.
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