研究課題
強力な骨誘導活性のある骨形成タンパク質(BMP)-2の応用は、補綴歯科治療においても、非常に有効な骨再生療法として期待されている。一方、申請者らは、骨髄腔内においては逆に、BMP-2が骨形成を著明に抑制する事を明らかにした。作用部位によって全く逆の効果を示すBMP-2の応用は、確実な骨造成を目指す上で問題がある。そこで、本申請研究の目的は、骨髄内でのBMP-2による骨誘導抑制メカニズムを解明することである。平成28-29年度は、BMP-2の骨誘導抑制メカニズムを明らかにするために、骨形成,吸収に関わっている骨芽細胞,破骨細胞がトラッキングできるマウス、造血幹細胞ニッチの形成に関わるCXCL12陽性細胞をトラッキング可能なマウスを入手し解析を行い、骨髄内に移植したBMP-2周囲の骨芽細胞数が低下していることを明らかにしてきた。平成30年度は、骨髄内に移植したBMP-2周囲のCXCL12陽性の間葉系幹細胞数に変化が生じないことを明らかにした。また、骨髄内のどの細胞が本BMP-2誘導性骨芽細胞分化の抑制に関わっているかをin vitroにて解析を行った。具体的には、磁性ビーズを用いた細胞分離用キットを用いて得た、CD11b陽性のMyeloid、CD4陽性のT細胞、CD19陽性のB細胞をそれぞれ除去した骨髄細胞、およびCD19陽性の骨髄B細胞をC2C12-BRE細胞と共培養し,BREに対するルシフェラーゼ活性を計測した。その結果、CD19陽性のB細胞を除去した骨髄細胞でのみ、BMP-2誘導性骨芽細胞分化抑制効果が有意に減弱した。また、CD19陽性の骨髄B細胞は、骨髄細胞と比較し、より強いBMP-2誘導性骨芽細胞分化抑制効果を示した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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