研究課題
歯肉線維芽細胞(HGF)の機能の発現に重要な受容体やシグナル伝達分子の細胞内局在を制御する分子のうち、ゾレドロン酸(ZA)によりその機能が阻害される細胞内輸送分子を捉えるための研究基盤整備を実施した。ZA によりその細胞内局在が影響されるTGF-β受容体輸送体であるRabファミリーを制御するAddicsinとArl6ip1の細胞内動態を観察するための実験基盤の樹立を試みた。ZAが細胞内輸送分子の局在を変化させるのに適した刺激時間や刺激濃度設定のためには、ZAでその細胞内局在の変化させる分子を可視化する実験系が必要である。ZAでその局在変化が確実に変化する分子としてAddicsinとArl6ip1をそのモデルとし、酸化ストレスを未分化間葉系細胞に与えた際のAddicsinとArl6ip1細胞内局在を調査した。未分化間葉系細胞は上述の歯肉線維芽細胞に分化する細胞であり、本実験のための条件設定用の細胞とした。未分化間葉系細胞は酸化ストレスの増加に伴い、その細胞分化の方向性を骨芽細胞から脂肪細胞に変化することが知られているが、その細胞内酸化ストレスに反応してAddicsinとArl6ip1が働くと考えられている。我々は、この細胞の細胞分化の方向性を変化させる酸化ストレスの強度を明らかとした。現在、この酸化ストレス下でAddicsinとArl6ip1の細胞内動態を観察しこれらの分子の細胞内局在の変化捉えるべく調査を進めている。今後、この実験系にZAを与えた際にAddicsinとArl6ip1細胞内局在がどのように変化するのかを捉え、細胞内輸送分子の局在を変化させるために適したZAの刺激時間や刺激濃度を設定する。この刺激条件で、TGF-β刺激時にHGFにおいてその細胞内局在が変化するAddicsinとArl6ip1をはじめとした細胞内輸送分子の動態がどのように変化するのかを捉えたい。
2: おおむね順調に進展している
口腔組織由来細胞内輸送分子の動態を網羅的に解析し、ZAにより影響されるモデル輸送分子のピックアップ作業を実施するまでには至っていないが、この網羅的解析を可能とするための実験基盤を立ち上げた。今後、当初の研究計画に従い、平成29年度までに、モデル輸送分子のピックアップ作業を終え、その後の輸送分子の同定に繋げたい。
平成29年度の研究計画の通り、口腔組織由来細胞における筋線維芽細胞分化や血管形成を制御する細胞内モデル輸送分子のうちで、ZAがターゲットとするモデル分子のピックアップを前年度に継続して行う。そして、平成30年度以降に計画している上記モデル分子の絞り込み作業に繋げたい。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (14件)
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