研究課題
本研究では、歯肉線維芽細胞をはじめとした間葉系細胞の各機能の発現に重要な受容体あるいはシグナル伝達分子の細胞内局在を制御する分子のうち、ゾレド ロン酸(ZA)によりその機能が阻害される細胞内輸送分子としてaddicsin関連分子をモデル分子として研究を進めている。これまでに我々は、本研究でターゲットとしている歯肉線維芽細胞への遺伝子発現ベクターの導入効率が低いという理由から、この細胞の代替細胞として間葉系幹細胞を用い、この代替細胞におけるaddicsinの働きについて、この細胞にaddicsin関連遺伝子発現ベクターを導入する実験により試みている。その結果、addicsinの所在を小胞体膜に繋ぎ止める役割を果たすaddicsin関連分子としてのArl6ip1を間葉系幹細胞に発現ベクターを利用して強発現したところ、この細胞の骨芽細胞分化マーカーの発現が増大することを明らかとして報告した。興味深いことに、我々は以前に、この間葉系幹細胞の骨芽細胞分化マーカーの発現が、TGF-betaによる刺激でも増強されることを見出している。つまり、今後は間葉系幹細胞におけるTGF-beta刺激による骨芽細胞分化促進効果に対する細胞内輸送タンパク質addicsin/Arl6ip1の役割を調査し、さらにはその役割に対するZAの影響について明らかとすれば、本研究の目的の一つとしての歯肉線維芽細胞におけるTGF-beta誘導性の創傷治癒にZAがどのように影響するかについて細胞内輸送分子に着目して解明するための基点となるものと期待される。現在、これまでにモデル分子として捉えたビスホスホネート誘導性顎骨壊死(BRONJ)におけるin vivoでのターゲット分子の絞り込みのために、BRONJマウスに加えて、MRONJマウスの作製にも成功しており、今後の顎骨壊死治療法樹立のための研究の進展が期待される。
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すべて 2020 2019
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Experimental and Therapeutic Medicine
巻: 掲載確定 ページ: 掲載確定
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