研究課題
われわれが作成した低酸素遺伝子応答イメージングの担癌モデルマウスを用いて、低酸素PETトレーサーと低酸素遺伝子応答の腫瘍内分布の比較を行った。その結果、18F-FMISOと125I-のオーバーラップ領域は、64Cu-ATSMと125I-のオーバーラップ領域よりも有意に大きかった。また、低酸素PETトレーサー集積領域における125I-の集積領域の割合は、18F-FMISOにおける125I-の集積領域の方が有意に大きかった。以上から、低酸素領域に対する選択的放射線治療において、64Cu-ATSMよりも18F-FMISの方が照射野の決定に適していることが示唆された。FMISO-PET、FDG-PET CT検査後に根治手術を受けたOSCC患者で5年以上経過した23例(M:15例、42-84歳)を対象とした。Hypoxic volume はFMISO PET のtumor to muscle ratio: TMR >1.25の腫瘍内容積とした。PET値のカットオフ値はROC曲線から算出し、生存分析はKaplan-Meier法を用いた。Hypoxic volume≧3.6mlの症例では有意に局所再発率(locoregional recurrence: LR rate)が高く(P=0.01)、無病生存率(Disease-free survival: DFS rate)が低かった(P=0.03)。T、N分類やFDG SUV maxとLR rate、DFS rateには有意な関連は認めなかった。OSCCのhypoxic volumeは術後の局所再発や生命予後の予測因子になりうる可能性が示された。
2: おおむね順調に進展している
本研究により多くのデータが得られた。研究成果を多くの国際学会での報告のみならず一流雑誌に論文として継続して報告している。
Ⅰ. 各低酸素PETトレーサーの集積領域から、低酸素応答領域を特定する。これにより、化学療法や放射線治療の治療抵抗性との関連を検討する。低酸素応答領域と癌幹細胞との関係を詳細に調べ、癌幹細胞イメージングあるいは、治療抵抗性イメージングへと発展させる。Ⅱ. クリニカルPET:口腔癌者で放射線化学療法前後にFDG-PETとFMISO-PETを撮影。5-FU代謝に関わるチミジンホスホリラーゼをイメージングする[123I]IIMUを用いたSPECT/CTを撮影。口腔癌の低酸素状態と治療効果や予後との関連性について明らかにする。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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