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2017 年度 実績報告書

次世代骨再生法開発のための基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 16H05546
研究機関松本歯科大学

研究代表者

各務 秀明  松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (80242866)

研究分担者 住田 吉慶  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (50456654)
李 憲起  松本歯科大学, 歯学部, 講師 (60350831)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード再生医療 / 骨再生 / 幹細胞 / 免疫 / 骨芽細胞
研究実績の概要

培養細胞を用いた骨再生治療は,優れた骨再生能や生体親和性が報告されているものの,いまだ既存の骨移植等に代わる治療とはなり得ていない.その理由の一つとして,治療に大量の細胞が必要であるなど,治療効率の低さがあげられる.最近の研究結果から,培養骨の移植部位における炎症が移植細胞のアポトーシスを誘導することで細胞数が激減する可能性が指摘されているが,移植部位の環境が細胞に与える影響については十分理解されていない.本研究では,細胞移植後に起こる局所での炎症やサイトカイン発現の詳細と,これらが移植された骨芽細胞に与える影響の詳細を明らかにすることを目的としている。また,移植細胞に対する障害を最小化する方法を解明することを目指している。本年度は、引き続き移植部位における炎症性サイトカインの発現と、免疫抑制によるサイトカイン発現抑制について検討を行った。副腎皮質ホルモンは強力な抗炎症作用を免疫抑制作用を有しているが、長期投与では骨量減少に作用する。そこで、短期間の副腎皮質ホルモンが炎症性サイトカインおよび破骨細胞の形成に与える影響について検討を行った。その結果、一部のサイトカインの抑制は認められたが、局所においては増加するサイトカインもあり、その抗炎症効果は限定的であった。また、局所における炎症性サイトカインの影響を軽減する方法として、IL-10による影響をin vitroモデルにおいて検討した。IL-10は、炎症性サイトカインによる骨分化の抑制や破骨細胞活性の増加を有意に抑制した。免疫抑制剤の全身投与では、全身に対する作用と局所における影響は必ずしも一致しないことが明らかとなった。また、ステロイドでは短期間であっても骨吸収に働くサイトカインを局所において一部活性化することから、骨再生の促進には有用ではない可能性が示唆された。今後はサイトカインを用いた免疫抑制の可能性について検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

移植部位における免疫応答およびサイトカインの発現についてはこれまでほぼ解析が終了した。また、免疫抑制に対する手段として、ステロイドの投与による影響について検討を行い、現在論文執筆中である。今後はサイトカインを用いた局所炎症制御を進めることとした。また、実用化を目指した骨再生を効率化研究として、採取が容易な細胞源についての研究も開始し、成果が得られつつある。概ね順調に経過していると考えられる。

今後の研究の推進方策

これまで検討してきた副腎皮質ステロイドでは有効性が得られなかったが、サイトカインを用いた局所免疫制御では有望な成果がえられつつある。また、当初計画していた免疫抑制剤の応用については、全身に対する影響や適応の問題が指摘されており、今後をサイトカインによる局所免疫制御に注力することで、当初の目的を達成したい。また、移植細胞数を減少させないという方向以外にも、採取可能で可塑性の高い体性幹細胞についての研究が進んでおり、今後骨髄由来細胞に代わる細胞源として期待されている。われわれは現在新たな体性幹細胞源の開発とその有効性にも取り組んでおり、これらの有用性を検討することで、効率的な骨再生につなげられると考えている。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Issues with the surgical treatment of antiresorptive agent-related osteonecrosis of the jaws.2018

    • 著者名/発表者名
      Kagami H, Kobayashi A, Taguchi A, Li X, and Yoshizawa M
    • 雑誌名

      Oral Dis.

      巻: 24 ページ: 52-56

    • DOI

      10.1111/odi.12783

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Potential application of tissue engineering for the reconstruction of facial bones.2017

    • 著者名/発表者名
      Kagami H
    • 雑誌名

      Oral Dis.

      巻: 23 ページ: 689-691

    • DOI

      10.1111/odi.12581.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Adipocytes enhance expression of osteoclast adhesion-related molecules through the CXCL12/CXCR4 signalling pathway.2017

    • 著者名/発表者名
      Luo T, Liu H, Feng W, Liu D, Du J, Sun J, Wang W, Han X, Guo J, Amizuka N, Li X, Li M
    • 雑誌名

      Cell Prolif.

      巻: 50 ページ: e12317

    • DOI

      10.1111/cpr.12317

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Effect of cell processing protocol on the clinical result of bone tissue engineering.2017

    • 著者名/発表者名
      Kagami H, Inoue M, Li X, Nagamura-Inoue T, Tojo A, Yamashita N
    • 学会等名
      Translational Opportunities in Stem Cell Research (Basel)
    • 国際学会
  • [学会発表] 大学病院における閉鎖型自動細胞培養装置を用いた細胞培養とその経過.2017

    • 著者名/発表者名
      各務秀明,李憲起,秋山裕和,市村昌紀,宇田川信之
    • 学会等名
      第59回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] 自動培養装置と簡易型クリーンブースを用いた特定細胞加工物調製システムの構築2017

    • 著者名/発表者名
      李 憲起, 芳澤享子, 各務秀明
    • 学会等名
      第62回(公社)日本口腔外科学会総会・学術大会
  • [学会発表] ステロイド投与が培養骨の骨形成過程に及ぼす影響2017

    • 著者名/発表者名
      李憲起, 楊 静, 芳澤享子, 各務秀明
    • 学会等名
      第85回松本歯科大学学会
  • [学会発表] 短期間ステロイド投与が培養骨の骨形成過程に与える影響.2017

    • 著者名/発表者名
      李 憲起, 楊 静, 芳澤享子,各務秀明
    • 学会等名
      第21回日本口腔顎顔面インプラント学会総会・学術大会
  • [学会発表] 歯槽骨再生治療の実現のための細胞調製システムの構築とその運用「大学病院における閉鎖型自動細胞培養装置を用いた細胞培養とその経過」2017

    • 著者名/発表者名
      各務 秀明
    • 学会等名
      第59回歯科医学会学術大会

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公開日: 2018-12-17  

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