研究課題/領域番号 |
16H05559
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
道川 誠 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40270912)
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研究分担者 |
赤津 裕康 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00399734)
橋詰 良夫 医療法人さわらび会福祉村病院長寿医学研究所, 神経病理研究所, 所長 (70106227)
佐藤 聡 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (70235357)
両角 祐子 (廣木祐子) 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (90318551)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 認知症 / 歯周病 / 口腔ケア / 介入試験 |
研究実績の概要 |
●福祉村病院ならびに関連施設から、軽度認知障害および初期認知症の方(具体的には、頭部CTで脳梗塞ならびに脳出血、外傷などによる脳損傷所見がなく、長谷川式認知症スケール[HDS-R]およびMMSEで19~23点の方)を20名選び出し、20名選び出し口腔内の歯および歯周病の状態を検査した。選択した患者の口腔には、4mm以上の歯周ポケットを有する歯が12歯以上存在したことを確認した。これを無作為に10名ずつの2群に分ける。歯周病治療、口腔ケア実施群と、対照群とに分け、2年間の介入試験を開始した。 ●歯肉辺縁部の評価は、Loe and Silness;1963年のgingival index(GI)に準じて、さらに歯周ポケット底部の炎症評価 BOPには、 Ainamo and Bay;1975年のgingival bleeding index(GBI)に準じ歯周プローブを用いて各歯6点で測定する。 d) プラークの評価: Silness and Loe;1964年の plaque index(PlI)に準じて0から3までの4段階で行い、各歯6点で測定する。 咀嚼能力検査法:グミゼリー内のグルコース溶出量をグルコセンサー (GS-1)を用いて測定する。20秒間試験用のグミゼリーを咀嚼させ、その後グミゼリーから溶出したグルコース量をグルコセンサーにて測定し咀嚼能率を評価する。 ●口腔ケア・歯周治療を行う臨床介入群では、1回/1日の歯周囲を中心とした仕上げ磨きを福祉村病院ならびに関連施設の職員(看護、介護)に委託する。 ●歯周病や咀嚼低下が引き起こす認知機能低下の分子機構に関しては、抜歯による咀嚼機能低下の誘導が、脳内カスケードを開始して海馬神経細胞機能障害・脱落に至る経路の解析を、マウスを用いた実験系で開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究の最も大きな達成目標は、認知機能の低下した高齢者で歯周病を持つ方に対して、歯周病治療と口腔ケアの介入を行い、認知機能低下の進行に対する抑止効果を検証することである。その意味で、軽度認知障害および初期認知症の方(具体的には、頭部CTで脳梗塞ならびに脳出血、外傷などによる脳損傷所見がなく、長谷川式認知症スケール[HDS-R]およびMMSEで19~23点の方)を20名選び出し、20名選び出し口腔内の歯および歯周病の状態を検査したことは良好な研究進捗を示している。当然、選択した患者の口腔には、4mm以上の歯周ポケットを有する歯が12歯以上存在したことを確認した。これを無作為に10名ずつの2群に分け、歯周病治療、口腔ケア実施群と、対照群とに分け、2年間の介入試験を開始できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、2年間にわたり、歯周病を持つ介入群(定期的)と非介入群の方々を追跡し、歯周病の程度、認知機能低下、認知症発症について評価する。また、動物モデルを用いて、咀嚼機能の低下が、どの経路で脳内(海馬神経系)に影響を及ぼすかについて検討する。
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