研究課題/領域番号 |
16H05561
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村山 陵子 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (10279854)
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研究分担者 |
松井 優子 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (00613712)
真田 弘美 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50143920)
大江 真琴 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (60389939)
小見山 智恵子 東京大学, 医学部附属病院, 看護部長 (60581634)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 末梢静脈カテーテル留置 / 輸液看護 / 輸液療法 / 看護技術 |
研究実績の概要 |
「研究A:プログラムに活用する可視化デバイスの開発、 改良、選定」では穿刺技術向上に利用する可視化デバイス選定のため、候補は近赤外線を利用した可視化装置(近赤装置)、超音波検査装置(エコー)とし、①大学病院内科病棟にて患者7名16穿刺時の穿刺前の血管アセスメントに可視化デバイスを用いる有用性の検討、②成人ボランティアの血管を対象に近赤装置とエコーによる血管評価の妥当性の検討、③外来化学療法室看護師5名(計38穿刺)を対象とし、穿刺前の血管アセスメントにエコーを用いた穿刺成功率確認のプレテストを実施した。①②で近赤装置による血管の可視化が安心感につながること、触診できない深さの血管の存在が確認できた。しかし投影血管とエコー描出血管の太さとは2-3mmの違いがあり、触診できない深い血管への近赤装置単独使用で穿刺成功率向上は困難と考えられた。③で通常の穿刺と穿刺前にエコーで観察する場合との成功率の比較で、78.9%から84.2%に向上し、特に深さにより穿刺角度を変えたという感想を得た。ただし視診できない細い血管への穿刺は、エコーの事前観察だけで穿刺成功率向上は困難と考えられた。①②③の試行結果を受け、エコーガイド下穿刺の有用性を検討している。可視化デバイスの開発では、がん化学療法時の血管外漏出の早期発見可能な皮膚温度分布の検出デバイスを開発しており、本研究では臨床での活用方法をプログラムに含めていく。 「研究B:可視化デバイスを用いた輸液管理プログラムの立案・開発」では昨年度までの研究成果や国際学会での情報を加え、エビデンスに基づくケアを検討した。具体的には1)適切な部位とデバイスの選択、2) 固定方法、3) 感染対策、4)抜去の基準、の推奨する内容を整理し介入研究開始の準備を整えた。また国内の先進的な取り組みを行う一施設を見学し、輸液看護レベル向上へのシステムづくりの参考とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プロジェクトの目的を達成する為に、内容を「研究 A. プログラムに活用する可視化デバイスの開発、 改良、選定」「研究 B. 可視化デバイスを用いた輸液管理プログラムの立案・開発」「研究 C. 可視化デバイスを用いた輸液管理プログラムの検証」 「研究 D. 開発した輸液管理プログラムの臨床応用へ向けた再構築・再検証」の 4 段階に設定し、展開している。28年度はA、Bを中心とし、おおむね当初の予定どおりに進めている。ただし「輸液管理プログラムの立案」で、「a.抗がん剤以外の投与」 「b.抗がん剤投与」に分類し、b.についてはレベルアップのプログラムとする予定であるが、そのプログラムを詳細に立案するまでには至っていない。また、Cに関しては立案したプログラムの評価を臨床で実施、評価するための、研究計画の倫理審査を受けている段階で、倫理審査承認に時間を要しており、臨床のスタッフを含めたプロジェクトチーム結成がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
29 年度は「研究 C. 可視化デバイスを用いた輸液管理プログラムの検証」として、カテーテル留置時と抜去時の基本となるケアにエコーの活用を含んだセットとして臨床に提供し、介入調査を実施し評価する。それとともに、穿刺手技の確立については、末梢静脈カテーテル留置時のサポート技術を開発したうえで、それを含んだプログラム立案を目指す。さらに「抗がん剤投与」の場合の応用プログラムには異常の早期発見を促進できる技術を取り入れたものとする予定である。したがって、「研究 B. 可視化デバイスを用いた輸液管理プログラムの立案・開発」のやや遅れている部分(「a.抗がん剤以外の投与」 「b.抗がん剤投与」に分類しプログラムを作成する)について、分担研究者と十分にディスカッションをしつつ共同して開発していく予定である。 したがって、今年度はプログラム立案・確立に注力し、次年度以降、そのプログラムの効果検証試験を行うに当たり、プログラム効果判定基準を明確に設定するのはもちろん、分担研究者の抗がん剤投与に関する専門的知識の助言をうける。モデル施設としての大学病院内に、看護師を中心とした院内プロジェクトチーム結成を急ぐ必要がある。多職種(看護師・医師・ 薬剤師ほか)で構成されるチーム編成を整える。
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