研究課題/領域番号 |
16H05563
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤本 悦子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (00107947)
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研究分担者 |
大島 千佳 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (30405063)
竹野 ゆかり 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (20509088)
間脇 彩奈 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (10533341)
有田 広美 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (30336599)
安藤 詳子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (60212669)
玉腰 浩司 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (30262900)
永谷 幸子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (90452200)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リンパ浮腫 / 糖尿病 / 乳がん / CDT / ICG / SDTラット |
研究実績の概要 |
1)ヒトを対象とした解析 乳がんの手術後にリンパ浮腫を発症した患者の募集を、これまでに構築しているリクルート手順と倫理規定に従って本学附属病院で行った。一方で、その患者のカルテから糖尿病の既往を検索した。 また、これまでの研究で、リンパ浮腫ケアで行われるCDTのうち、多層包帯法(MLB)が、極めて有効であることをMRIで明らかにしたが、本年度はセルフMLDの実施についてインピーダンス法、アクチグラフ法、アンケート法を用いて研究し、その安全性、効果を検討した。1日中のMLB施行は患者の負担が大きいが、夜間の実施だけでも効果があること、患者の日中活動に悪影響を与えないこと、睡眠への悪影響もないことが明らかになった。従って、今後、ケアとして夜間のセルフケアを中心に用いて研究を展開する。 2)動物実験 糖尿病動物としてSDTラットを用いることを検討した。まずこのラットの特性を精査する実験を行った。用いたSDTラットは、15-30週齢から血糖値が300mg/dl以上になった(コントロールとして用いたSDラットでは100-120mg/dl)。またこれに伴う経時的体重変化ををコントロールラットの変化とともに肥満を念頭に把握した。次に、リンパ浮腫を発症させることを目的とした手術に、SDTラットが耐えられるかどうかを検討した。血糖値が高値で安定した時点で、SDTラットに鼠径リンパ節摘出手術を施した。手術侵襲により死亡した例はなかった。現在リンパ浮腫の発症を待っているところであるが、作成出来れば、本研究にSDTラットを用いる。浮腫の発症はICG-PDE法、インピーダンス法で確定する予定である。 一方で、これまでに独自に開発した方法で、リンパ流速の測定を試みた。SDTラット4匹を用いた実験では、糖尿病を発症後にリン流速が若干遅くなった。これが普遍的、一般的な所見かどうか現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトを対象とした解析: 研究対象の患者のリクルートについて、臨床でのサポートが得られた。今までに構築した、研究基盤(基本的所見や用具の開発)を応用する方法を立案した。研究の主たるデザインを決めることができた。 動物実験: 用いる糖尿病モデル動物を決定し、その特性を明らかにした。また脆弱とされる糖尿病ラットにおいても、リンパ浮腫を誘発できる方法を明らかにした。 以上から、おおむね順調に伸展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1)ヒトを対象とした解析 研究参加の協力が得られたリンパ浮腫患者のうち、糖尿病の既往歴の有無によって2群に分け、水分の貯留状況(MRI所見、インピーダンスデータ)、皮膚の状況(粘弾性、微細構造、圧痕など)、腕の形態(膨張程度、周囲径など)を比較する。しかし被験者が、必ずしも十分であるとは予想れないので、これらのデータ収集は複数年にわたって行う予定である。地道なリクルート活動が肝要であると考えている。 2)動物実験 昨年度の実験で得られたノウハウをベースに、SDT糖尿病ラット、SDコントロールラットにおいて、それぞれ鼠径リンパ節摘出術を行い、リンパ浮腫を発症させる。これらのラットにおけるリンパ浮腫の進展/転帰の状況を明らかにする。リンパ浮腫の判定にはICG-PDEを用いる。必要に応じて、リンパ管内皮細胞の状態(脆弱性、形態、大きさの変化など)を免疫組織化学で観察する。
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