研究課題/領域番号 |
16H05566
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
松成 裕子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00305848)
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研究分担者 |
松田 尚樹 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (00304973)
伊東 朋子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (30305841)
熊谷 敦史 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (40448494)
今村 圭子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (70729003)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 看護教育学 / 放射線教育 |
研究実績の概要 |
28年度は、指導パッケージの構成を主に企画した。講義の時間数の設定は、時間の捻出が困難な大学が多いとの調査結果から、可能な時間ごとに分割できる案とした。また、基本構成は、先導のダイジェスト版、目的別ユニット(放射線入門コース、放射線医科利用コース、放射線看護コース)に分ける構成とした。各コースのパッケージは、放射線の基礎知識、自然放射線、放射線の利用、放射線の生物学的影響、放射線障害、放射線診断、放射線治療、核医学、医療放射線リスク、放射線防護、医療被ばく、職業被ばく、被ばく医療などとした。パッケージは、各ファイル、教材で構成した。教材は、プレゼン用パワーポイント、教材サポートのワークシート、学習プリント、クイズ用パワーポイントを作成し、保存するように設計した。また、講師用指導マニュアルを作成する計画とした。そして、評価の放射線教育判定テストによって、フィードバックできる構成とした。また、パッケージ開発にあたり、他の研修の教授内容の情報収集として、対象となる学生を参加させて、その評価を得た。評価データは、対象5名のサンプルを得ることができた。評価データの分析では、ストーリー性、メッセージ性によって興味を促すと効果があり、実践の場の理解のために見学、現地視察が有効であり、演習を組み入れると、その中で課題を見つけ、解決方法を自分で考えることにつながり、効果的であることがわかった。また、授業手法は、遠隔システムを活用した多次元での中継が可能かどうか試験したが、同時に発言があった場合には難しく、一元ごとの中継が好ましく、工夫がいることがわかった。他には、授業内容に充実を図るために、最新の放射線治療、被ばく医療に関する文献研究を行った。また、看護職が放射線診療および被ばく医療に関わる時の不安について、看護師、保健師等へ調査した結果を深く分析し、授業内容に反映すべき事項がわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
28年度の達成目標は、「学士課程の指導パッケージ作成を行う。」であった。作成にあたり、各大学が講義に使える時間を調査したところ、複数の大学から科目として増やすことは困難であることの情報を得たことから、指導パッケージについては、可能な時間ごとに分割できる案とした。この情報収集のために時間を要した。また、再度、看護師、保健師等から放射線診療、および被ばく医療に関わるために必要な知識・技術について情報を得ることができたが、その分析にも時間を要した。しかし、この研究の対象となる学生5名には学生を対象とした放射線に関する研修会に参加してもらったことで、これらの学生の受講した研修内容とその知識の定着度、および演習、見学、視察等の学習活動についての評価、感想を得ることができた。これは、指導パッケージ作成に役立てることができると考えるが、その結果から、教育内容の再検討が必要となり、時間を要している。このように今回の達成目標に関連する情報収集を行ったこと、また、教育内容の再検討により、時間を要したことから指導パッケージ作成が途中段階にある。そのために、「遅れている」評価となっている。
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今後の研究の推進方策 |
28年度の達成目標の遅れを取り戻すために、29年度の達成目標である「1)指導パッケージのパイロットテストを実施する。2)運用した指導パッケージの評価・修正し、内容修正を行う。3)指導パッケージの運用に向けた広報活動を行い、参加校を募る」についてを検討し、具体的実施内容を変更する必要がある。 従って、指導パッケージのパイロットテストについては、後期の講義にて実施することを目指して計画修正を行う。まず、全ての指導パッケージを作成するのではなく、まず、放射線入門コース、放射線医科利用コースの指導パッケージを作成し、第1回1コマの講義を実施する。そして、講義ではプレゼン用パワーポイントにより、講義を行う。1コマの講義終了後に放射線教育判定テストを行い、その結果をフィードバックする。その評価結果のフィードバックとして、クイズ用パワーポイント等を作成し、第2回1コマ(次回)には、知識の確認テストとして使用する。また、講師用指導マニュアルは素案を作成し、講義を実施し、その終了した後で、講師用指導マニュアルを完成する計画とする。そして、各コース終了後の教育判定テストおよび学生の評価内容によって指導パッケージの内容を修正する。このように計画することで、1つの指導パッケージを作成、実施、評価、修正することで、次の指導パッケージの作成に1回目の指導パッケージの修正を反映する。このことから、指導パッケージを効率的に完成できるものと考える。また、指導パッケージの運用に向けた広報活動を行い、参加校を募ることについては、9月の日本看護研究学会 第43回学術集会にて、交流集会の企画「看護基礎教育における放射線看護学の教授方法の検討」を計画しているので、その時に参加者へ広報活動を行い、参加校を募ることを計画している。
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